吠舞羅のお姫様 (ページ41)

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-出雲side-

出雲はバーに行く途中で見つけた、怪我をしている世理を連れて自宅へと戻っていた。
足の手当を軽くして、酒を交わす。

出雲「世理ちゃんも他のクランのこと気になる？」

世理「多少、ね。特にあなたたちって王と臣下って感じじゃないじゃない」

出雲「まー元々フツーにダチやったからなー。王とかなんとかいまだに妙な感じやわ」

出雲は世理の座るソファにドサッと腰掛けた。
世理は横目で彼を見る。

世理「…友達、だったの」

出雲「そうや。その頃あいつはただの高校生で。少しの間つるんでて、その時にやけに元気な小学生2人組に会ってな、んでそのうち妙な中坊がついてきて5人になって…」

出雲や尊が高校生の時はAと華奈は小学生、多々良は中学生だったのだ。
公園で遊んでいたAと華奈に出雲が声をかけ、そこからちょくちょく会うようになり、4人はつるみ始めた。
まぁ、その頃から尊とAは仲がよかった。
小学生にしてはAと華奈は大人びていたのだ。

世理「あなたたち、そんな昔からあの子たちと知り合いだったのね」

出雲「せやなぁ、あの2人は昔からやけに大人びてたからなぁ」

子供心というのは忘れていなかったが。

世理「それにしても、赤の王にも高校時代があったのね」

世理のその言葉に出雲はぶはっと笑った。

出雲「そらそうや。あいつだって今の形態(ナリ)のまま生まれてきたわけちゃうで」

世理「興味あるわね。どんな学生だったのか」

出雲「どんなって…十代の男なんてただのアホやで」

出雲が頭に浮かべたのは、放課後自転車に乗って公園に集まってAと華奈を待っていた時の事だった。
小学生の2人はAがバスケクラブに入っていて、華奈がテニスクラブに入っていたので、高校生の暇な出雲たちよりは少し合流が遅れていたのだ。
スポーツが万能なのは小さい頃かららしい。

多々良「ね、キング、出雲さん。勝負しない？」

出雲「勝負？」

雑誌から顔を上げた出雲とジュースを飲みながら多々良に視線を向ける尊。
多々良が「うん」と頷いた時、少し高い声が聞こえた。

華奈「出雲ー!多々良ー!尊ー!」

『お待たせー』

赤色と青色のスポーツバッグを肩から下げて自転車に乗って来たのは華奈とAだった。

出雲「おー、早かったなぁ」

華奈「いや、Aの着替えに時間かかったよ？」

『知ってた？バスケって結構汗かくんだよ？』

顔を突き合わせる2人に出雲たちは笑みを浮かべた。