第98話 ページ50
ダンッ
ハクは強く拳を岩に打ち付けた。
その首元でAから預かった首飾りが小さく揺れる。
―――行かせるんじゃなかった。
行かせるんじゃなかった。
こういう事態を、どうして予測出来ない!?
こんな所で……
こんな所で、守れねェって、どういう事だよ―――
「―――頼む…イル陛下…連れていかないでくれ…」
膝から崩れ落ちたハクの首元で、桃色の花が悲し気に揺れた。
・
・
―――ハク…。
こわいよ。
本当は、すごく。
ハクがいなくても、がんばろうって思ったのに、
こわくて、
ハクを探してしまう。
私はこんなにも弱い。
負けたくないのに…―――
「「姫様!」」
「姉様!」
キジャとカナとヨナの声にAはハッと目を開けた。
『キジャ…カナ…ヨナ…』
「大丈夫ですか？」
『あれ…どうなったの？』
「地震は収まったんですけど…」
そう言ってカナが振り返ると里人が「だめだ。この道は出口が塞がれてる」と他の里人に話しかけていて。
出られない事実に、皆ががく然としていると、ヨナが「ユン…」と振り返った先。
ユンは壁に寄って縮こまりながら震えていた。
「閉じ込められた…こんな狭いとこで大人数で…息が続かないよ…」
ユンの言葉で自身も息をするのが辛い事に気付いた。
思わず自分の喉を押さえる。
―――息…苦しい…？私。私、ここで、死…―――
「大丈夫だよ、ユン」
掛けられた言葉に、A達は一斉に振り返った。
ニコリと笑みを浮かべながら槍を握りしめたカナは、槍の先でツンツンと壁を突く。
「こんな所で死んでたまるもんですか。あたしが皆を死なせない。だから……ゆっくり深呼吸して、ユン。姫様たちも。…あたしが、あんた達を絶対外に連れ出すから」
カナは言い終わると同時に岩に向けて槍を振り下ろした。
ガンッと岩と槍がぶつかる音がその場に響いて、里人たちが一斉にその場から後退る。
何回も打ち付けるが、まったく開かれる様子がないその岩壁に、カナは思い切り槍を振り下ろした。
ガンッ
「開かねえ……」
荒い息をつきながら、岩を睨みつける。
ガッと岩を殴りつけたカナが後ろで見ていたキジャを振り返った。
「キジャ、手伝って」
「何をするつもりだ？」
「打ち付けてダメなら……掘る」
「わかった」
キジャは頷くと龍の手を巨大化させた。
「わああああっ」
「化け物……っ」
「ひいいっ」
キジャのその姿に悲鳴を上げて後ずさる里人たち。
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fruit - すごく面白いです。でもセリフを誰が言っているのかわかりにくいです。 (2021年8月13日 21時) (
レス) id: 80d0b24791 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぃ?(プロフ) - 面白すぎて眠れません笑これからも頑張って下さい！ (2018年11月29日 2時) (レス) id: 20429ecf64 (このIDを非表示/違反報告)
あーさー - めっちゃ面白いです！ 暁のヨナを書き終わったら、FAIRYTAILの原作沿いでグレイ落ち書いてほしいです！笑 (2018年8月3日 15時) (レス) id: 3e9f6fbfb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さきっち
| 作成日時：2018年7月27日 19時
