第97話 ページ49
「カナ…キジャ…わっ」
「姫様、お下がり下さい」
入り口から顔を出したA達をキジャとカナは背に庇い、詰め寄る里人たちを見た。
「出てきた」
「出てきたぞ」
「片付けろ」
「な…何？この者達は」
「こいつらは青龍を隠す為にあたし達を消すつもりだったんですよ」
ゴン
「安心して下さい。一般人相手に槍も力も使ってませんから」
「常人の何十倍の力でゲンコツしとるがな」
カナは背に庇ったAとヨナを一瞥しながら近寄ってきた里人に一発ゲンコツを落とすと、その者の仮面が外れた。
そしてそのまま気絶して床に倒れた里人を見てユンが冷静に突っ込む。
『あなた達、どうしてそんなに…』
「姫様っ」
前に出ようとしたAをキジャが後ろに庇う。
ユンはブンッと振り下ろされた剣を避けながら「よしてよ、こんな狭い所でっ」と声を上げた。
カナはヨナを背に庇いながら槍の取っ手の部分でユンに斬りかかった里人の背中をドンッと押して、そのまま壁に押し付けた。
「大丈夫？ユン」
「それより里人の方が心配…」
思ったより強く壁に押し付けたようでその者は気絶していた。
見渡せば数人が壁に寄りかかって気絶していて、そのほとんどがカナによってやられたものだろう。
思わずユンが冷たい目でカナを見るとゴゴゴゴゴと大きな音を共にその場が揺れた。
「なに!?」
「地震!?」
「わああっ」
「「姫様っ」」
上から降ってきた岩から庇うように、キジャがAを、カナがヨナを抱き込むと、Aは落下してくる岩を見ながら心の中で叫んだ。
(ハク!!)
・
・
ゴゴゴゴゴと揺れ動く音に気付いたハクはハッと立ち上がって周りを見渡した。
(地震!?)
きゃああ、わああと悲鳴を上げながらハクを見張っていた者達が洞窟から出て来る。
「ちいっ」
大きく舌打ちしたハクはA達が入っていった洞窟に向かって走り出した。
(あの奥は姫さん達が…)
あともう少しで辿り着くと思った矢先、ガラガラガラと上から落下してきた岩によって洞窟が塞がれてしまった。
(塞がれた!!)
ガラ…と小さい岩が、洞窟を塞いだ岩の上を転がる。
「嘘…だろ…」
ハクはその岩に手を伸ばすと無数に重なる岩を無駄だと解っていても、必死に取り払っていく。
「A姫さん!ヨナ姫さん!カナ!ユン!白蛇っ」
幾ら取り払ってもその分厚い壁はなくなることはなくて。
ーーー《さっきみたいな事にならないよう、気を付けるから》ーーー
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 214人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
fruit - すごく面白いです。でもセリフを誰が言っているのかわかりにくいです。 (2021年8月13日 21時) (
レス) id: 80d0b24791 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぃ?(プロフ) - 面白すぎて眠れません笑これからも頑張って下さい！ (2018年11月29日 2時) (レス) id: 20429ecf64 (このIDを非表示/違反報告)
あーさー - めっちゃ面白いです！ 暁のヨナを書き終わったら、FAIRYTAILの原作沿いでグレイ落ち書いてほしいです！笑 (2018年8月3日 15時) (レス) id: 3e9f6fbfb8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さきっち
| 作成日時：2018年7月27日 19時
