第96話 「反響する恐怖」 ページ48
『あなたの力を借りたいの』
「『私達と一緒に来てほしい』」
「…俺…の…力…」
ドクン、ドクと大きく脈打つ。
脳裏に蘇るの幼き日の自分が力を使い、里を襲いに来た者達を殺めてしまった時の事。
青龍はガッとAの外套を摑み、首筋に剣を向けた。
「お姫様っ」
「姉様っ」
ユンとヨナが声を上げる。
そんな2人をAは目で制した。
「敵…青龍の力を欲する者は、敵…!」
真っ直ぐに青龍を見つめるA。
青龍はその瞳を見て、カタカタと剣を持つ自身の手が震えているのを感じた。
《四龍の戦士たちよ。
お前達は、我々の分身》
「―――おまえ…おまえはなんだ…？
おまえ、なんか、知らない」
―――なぜ、手がふるえる？
「どうして…」
泣きたいのだろう―――
外套から離れた手と下ろされた剣を見て、Aはそれらを一瞥すると青龍を見上げた。
『青龍。私達はあなたの敵じゃないよ。私は私と仲間が生きてゆく為に四龍探しをしているの。
あなたを仲間として迎えたい』
優しい微笑みと伸ばされた手。
―――仲…間…
仲間…―――
「…俺は、呪われている、から」
『呪われて……？』
「この力は、決して、外に知られてはならない。破滅の力」
『…誰がそんな事を』
「事実だ。
もう眼の力は使わない」
『だから、行かないと…？』
「どうしても？」
悲しそうに目を伏せたAに近づきながらヨナがそう問いかけるが、青龍は「…………去れ」とただひと言、そう言った。
それを聞いたユンが「お姫様」と2人に声をかける。
『…一つ、言わせて。
あなたの手はとても温かかった。
呪いがどんなものかは知らない。でも、あれが呪われた者の手だというなら、あなたが恐ろしい呪いを持っていたって、私は全然構わない』
微笑みながら青龍を振り返ったAは、そのままヨナとユンと共にその場を去って行った。
それを名残惜しく見つめる青龍の視線に気づかぬまま…。
・
・
「―――お姫様、すっげ腑に落ちないって顔してるよ？」
目を細めて見る先には、むーんと口をへの字に曲げたヨナとAの姿があり、思わずユンは小さく笑った。
「あの部屋…何もなかった。彼はちゃんと食べているのかしら。何だか、大切な人を暗い檻に置きざりにした気分」
『変ね。初めて会ったのに』
キジャとカナと別れた入り口に近づくにつれてワアワアと騒がしい声が聞こえてユンは顔を上げた。
「何か、騒がしい気が…」
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fruit - すごく面白いです。でもセリフを誰が言っているのかわかりにくいです。 (2021年8月13日 21時) (
レス) id: 80d0b24791 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぃ?(プロフ) - 面白すぎて眠れません笑これからも頑張って下さい！ (2018年11月29日 2時) (レス) id: 20429ecf64 (このIDを非表示/違反報告)
あーさー - めっちゃ面白いです！ 暁のヨナを書き終わったら、FAIRYTAILの原作沿いでグレイ落ち書いてほしいです！笑 (2018年8月3日 15時) (レス) id: 3e9f6fbfb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さきっち
| 作成日時：2018年7月27日 19時
