第94話 ページ46
「お姫様、本当は少し怖いでしょ。雷獣がいないから」
「ここに来てふるえてるものね」
『ユン、カナ言わないでっ』
からかいの眼差しでユンとカナがAを見るとAはあわあわと2人の口を手で押さえた。
それをクスクスと笑いながら見るヨナ。
Aは恥ずかしそうに視線を逸らすと前に視線を戻しながら口を開いた。
『ハクがいると当たり前のように頼りすぎちゃうもの』
「頼られたいんじゃないの〜雷獣は」
『うん。でも…ハクは本当は私ではなく父上に仕えていたの』
ニヤニヤとAを見ていたカナも、笑みを浮かべていたヨナもふっと視線を下に下げた。
『今も、父上の命令を守ってくれているのよ』
昔、ハクがAの護衛を引き受けた時側にいたカナはきゅっと口を結んで視線を遠くに見やりながら歩みを進めた。
そのカナの袖をちょこんと摑むヨナも、黙々と足を進めるカナも視界に入れながらユンはAの言葉に「それだけ…じゃないと思うけど…」と返す。
『ハク、将軍とか護衛とか嫌がってたし。今はまだ出来ないけど…
いつかはハクに自由を返したい、と思う』
何処か遠くを見ながら話すAの横顔をユン達は唯静かに見つめた。
暫く歩くと見えたのはAとユン達がはぐれた行き止まりで。
周りに何もないと確信していたユンは驚きの声を上げた。
「えっここの行き止まりに隠し通路!?」
『ええ』
「青龍のヤツ、絶対そこだよ!」
「よし早く引きずり出しましょう」
その時、キジャとカナは何かに気付いて後ろを振り返った。
「おー開いた開いた。おもしろそー」と話すユン達を背後にキジャとカナは目を合わせる。
「カナ、キジャ行くよ。どうしたの？」
「あ、いえ。青龍はその先にいます」
「あたし達はここで待ってるから先に行ってて」
「了解」
「カナ…」
名残惜しそうに名前を呼ぶヨナにカナは「大丈夫ですから…」と笑みを見せて松明を持つユンと一緒に先に降りて行ったAの後を追わせた。
3人が見えなくなってからカナは鋭い眼を前に向ける。
そこには武器を後ろに隠し持つ里人の者が何人もキジャとカナを囲んでいた。
「―――さて、こんな狭い場所に何か用？」
「その先へ行った者は帰すわけにはゆかない…」
「黙れ。赤き龍と桃龍の尊さをも忘れた不届き者共。あの方々に近づくこと、この白龍が許さぬ」
「少々手荒なことされても、文句言わないでよ」
軽く槍を一回転させたカナはニヤリと不敵な笑みを里人に向けた。
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fruit - すごく面白いです。でもセリフを誰が言っているのかわかりにくいです。 (2021年8月13日 21時) (
レス) id: 80d0b24791 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぃ?(プロフ) - 面白すぎて眠れません笑これからも頑張って下さい！ (2018年11月29日 2時) (レス) id: 20429ecf64 (このIDを非表示/違反報告)
あーさー - めっちゃ面白いです！ 暁のヨナを書き終わったら、FAIRYTAILの原作沿いでグレイ落ち書いてほしいです！笑 (2018年8月3日 15時) (レス) id: 3e9f6fbfb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さきっち
| 作成日時：2018年7月27日 19時
