第90話 ページ42
『ハク!カナ!ヨナ!キジャ!』
―――誰もいない。道がわからない―――
『ユン…っ』
暗闇に手を伸ばすが、その手が何も摑むことはなく。
(どうしよう……!!)
Aは伸ばした手をぎゅっと胸の前で握った。
そのとき、「迷われたのですか？」と声が聞こえてAは顔を上げた。
「お仲間とはぐれたのですか？」
暗くて顔は見えないが里の者だと思ったAは『え、ええ』と頷いた。
するとその人は「手を…」とAに手を差しだす。
「お仲間の所へ連れていって差し上げます」
『ありがとう…!(よかった…!)』
その手を取ったAは導かれるように足を進めた。
手を引かれながらAは目の前の者に声をかける。
『助かったわ。暗くて困っていたの』
「ここは迷路だと長老が伝えたはずです…」
『ごめんなさい。どうしても探したい人がいて…』
「…セイリュウですか…？」
『ええ…』
「そのような者は、いません」
何処か気まずい雰囲気が流れてしまいどうしようかと思ったAは話題を変えた。
『…あの通路の奥は誰かの部屋なの？』
「………誰もいません」
暗闇にカツンカツンと音が響く。
その者は「だれもいません」「だれもいません」「だれもいません」と呟き続けた。
その時、大人しく後に続いていたAは、階段を下りている事に気付いて『…ねぇ』と静かに声をかけた。
『そっちは、ハク達のいる方向じゃないわ。なぜ、地下に向かうの？』
振り返った者の目にぞわっと冷たい者が身体中を駆け巡る。
(手が離れない…!)
繋いでいる手を離そうと力を入れるがなかなかその手は離れることはなく。
『放…して!嫌っ!!』
抵抗するAのもう片方の手も摑まれた。
『ハク…ハクっ!』
目に涙が浮かび、必死に抵抗している時、Aの耳にチリーンと鈴の音が聞こえた。
それと同時に後ろから肩を引かれ、摑まれていた手にも、肩に乗せられている手と同じような手が重ねられた。
―――誰…？―――
「ヒ………」
Aが見上げた先には面をつけた人がいた。
チリーンと聞こえる鈴の音はこの人から聞こえたのだろう。
里の者はその面を見ると小さく悲鳴を上げて逃げていく。
Aが唖然とその人を見上げているとその人はチリーンと鈴の音を鳴らしながらAの手を引いた。
―――鈴の音。面をつけてる？ここの住人…？
でもどうして…？
ひとつもこわくない。
『あなた…』
まさか―――
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fruit - すごく面白いです。でもセリフを誰が言っているのかわかりにくいです。 (2021年8月13日 21時) (
レス) id: 80d0b24791 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぃ?(プロフ) - 面白すぎて眠れません笑これからも頑張って下さい！ (2018年11月29日 2時) (レス) id: 20429ecf64 (このIDを非表示/違反報告)
あーさー - めっちゃ面白いです！ 暁のヨナを書き終わったら、FAIRYTAILの原作沿いでグレイ落ち書いてほしいです！笑 (2018年8月3日 15時) (レス) id: 3e9f6fbfb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さきっち
| 作成日時：2018年7月27日 19時
