第89話 ページ41
「あんたが暑苦しいんだろ」
そう言ったハクに龍の手を振るうキジャ。
そしてそれを軽々と避けるハクを置いて、ヨナが呟いた。
「あ、そっか。青龍にも白龍がわかるんだっけ」
『あまり出てきたくないのかな』
「それなら青龍は諦めても…」
「ダメですっ」
ヨナとAがそう話しているとキジャがそういった。
キジャに顔を向けるAとヨナ。
「諦めないで下さい…っ。青龍は私と同じように長い間、血を繋いできた。ならば、待っているはずです。自分を必要としてくれる主を、あなた方を。
四龍は本来その為だけに生まれ、それ以外何も望みなどなくて」
―――先代である父も、主を待ち焦がれた
「青龍も」
だが、ついに求められる事はなく、死へ向かった
「キジャ。私達は緋龍王と桃龍ではないわ」
「…はい」
でも、あなた達だと思ったのです―――
『緋龍王と桃龍ではないけど、私達はあなたが欲しい』
「『勝手でごめんなさい』」
キジャを見ながら笑みを浮かべた2人に、どきゅううんとキジャの胸が音を立てた。
顔を赤くし周囲に花をちらつかせながらキジャは「もっ…勿体ないです…っ」と俯いた。
それをニコニコと見つめるAとヨナ。
「雷獣、カナ。顔、歪んでるよ」
そんな3人を見て苦虫をかみつぶしたような表情を見せるハクとカナにユンは冷静に突っ込んだ。
するとユンの体がぶるっと寒気に襲われた。
「ねえ…それよりちょっと戻ろ。ここ、何か嫌なカンジ……」
「何?」
「……誰かが見てる…。でっかい目で俺らをじっと見てる」
ユンのその言葉にカナとハクは目を合わせると立ち上がった。
「…確かに妙な気配がしてたな」
「ここの住人に見付かったのかもしれないわね。行きましょ」
そう言って歩き出すカナ達の後を追おうとしたAの耳に動物の鳴き声が聞こえてきた。
思わず振り返って背後の岩壁に耳を寄せた…その時。
手をついた岩がガコッとへこんだ。
『!』
驚いて両手両膝を地面に着いたAの目の前の岩がギギギギと開かれていく。
『通路がある…』
先の見えない暗闇にAの声がこだまする。
すると、先程と同じような鳴き声が聞こえて下を見た。
『あら♡』
そこには一匹のリスがいて、Aは『かわいい』と目をキラキラさせて抱き上げる。
『ハクーカナーヨナーこんな所に動物…』
そう言って振り返った時、周りが暗くなった。
突然の事に体が固まる。
(通路のろうそくが消えた!?)
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fruit - すごく面白いです。でもセリフを誰が言っているのかわかりにくいです。 (2021年8月13日 21時) (レス) id: 80d0b24791 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぃ?(プロフ) - 面白すぎて眠れません笑これからも頑張って下さい! (2018年11月29日 2時) (レス) id: 20429ecf64 (このIDを非表示/違反報告)
あーさー - めっちゃ面白いです! 暁のヨナを書き終わったら、FAIRYTAILの原作沿いでグレイ落ち書いてほしいです!笑 (2018年8月3日 15時) (レス) id: 3e9f6fbfb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2018年7月27日 19時