第52話 ページ5
「神官は昔は王をしても侵せない、権威を持っていたんだよ」
「『王も？』」
神官は神の使いと崇められていた。
国の祭事や政に深く関わり、時には戦争をも左右した神官。
神がお怒りだからと王を降ろされた者までいたらしい。
「そこまでくると王にとっては厄介なワケ」
イルの父、ジュナム王の時代、高華国は他国にも領土を広げ勢いづいていた。
そこにはユホン(その当時は皇子)の功績が大きかったらしい。
そんなユホンにとって王の力を脅かす神官は邪魔だった。
『だから伯父上は城から神官を追い出したのね』
なるほど…とAは自然と力が入っていた肩の力を抜いた。
「こんな何もない所で大変ではない？」
「全然。俺は人里めんどいし、イクスはここの方が落ちつく。
人里は貧しい人間であふれてる。豊かなのは一部の都だけ。
イクスは優しすぎだから全てを助けようとしてできなくて、心が病んだ事がある。
あいつは俺がいないとダメなの」
そう言ったユンに、Aとヨナは顔を見合わせると。
「ありがとう」
『また、教えてね』
そう言って目を閉じた。
早く元気になって
ハク
カナ
・
・
・
その夜。
ふと目が覚めたAは体を起き上がらせた。
自分の隣で寝ているヨナの頬をさらりと撫でるとカナに近寄って額を触る。
(よかった…熱は下がってる)
と一安心したものの、隣の布団に視線を向けると目を見開いた。
(ハクがいない!?)
周りを見渡しても、寝ているヨナ達しかいなくて。
Aは急いでハクを探しに出て行く。
行く当てもなく、森の中を駆け抜けていくと石ころに躓いてびたんと顔面から転んだ。
『ハク…』
顔についた泥を払うと、脳裏を過るのは傷だらけのハク。
だんだん涙が滲んできてAを座り込んだまま声を上げた。
『ハクのバカ…っ』
「―――心外な」
カンと音がして上から降ってきた声に振り向くとそこには引き攣った笑顔のハクがいた。
「暗闇で座り込むなり悪口ですかい。
キセキの生還を遂げてだいぶお元気そうで何よりです」
そんなハクの姿に顔をくしゃりと歪ませるA。
そしてぐしぐしと目に滲んだ涙を手で拭った。
「どうしました？怖い夢でも見ましたか？」
『そんな事じゃ泣かないわ』
「ほーお」
『どこ行ってたのよ』
「ちょいと大刀とカナの槍を探しに」
『だったら私を起こしなさい!』
突然の大声にハクは目を見開くと「…成程」と口を開いた。
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fruit - すごく面白いです。でもセリフを誰が言っているのかわかりにくいです。 (2021年8月13日 21時) (
レス) id: 80d0b24791 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぃ?(プロフ) - 面白すぎて眠れません笑これからも頑張って下さい！ (2018年11月29日 2時) (レス) id: 20429ecf64 (このIDを非表示/違反報告)
あーさー - めっちゃ面白いです！ 暁のヨナを書き終わったら、FAIRYTAILの原作沿いでグレイ落ち書いてほしいです！笑 (2018年8月3日 15時) (レス) id: 3e9f6fbfb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さきっち
| 作成日時：2018年7月27日 19時
