第83話 ページ35
朝、起きて身支度を済ませて出発をすると、げっそりとしたキジャの顔にヨナは思わず悲鳴を上げた。
「きゃーーーっキジャ、綺麗な顔が大変よ!?」
「あ…お見苦しいところを…」
「おい、背中に虫いんぞ」
「あ、本当ね」
ハクとカナがキジャの背中を覗き込みながらそう言うとキジャは一目散に悲鳴を上げて逃げ回った。
Aは急いでキジャを追いかける。
『キジャ!待ちなさい。ハクとカナの嘘だからっ』
「ハク…カナ…」
ヨナがハクとカナを睨みつけると2人はどこ吹く風で口笛を吹いてヨナから視線を逸らしていた。
「静かにしな。ゆかいな珍獣共。
いーい？これから人里に入るんだから。しかも火の部族の土地だから。目立つんじゃないよ」
「「「「『はーい』」」」」
元将軍のハク、元国王専属護衛のカナ、赤髪と桃髪の姫のヨナとA、白銀の髪に手が異形のキジャ。
それらを見てユンは「無理だけど」と諦めたように呟いた。
・
・
「キジャ」
人里に下りて来て、ユンがキジャを呼ぶとキジャは静かに立ち止まって目を閉じた。
そしてゆっくりと目を開けると、ふーー。と息を吐く。
「―――ここにはいない」
その言葉にユンは地図を広げた。
「そう簡単にはいかないか。じゃ次はここから十里先の…」
「待て。
そこはダメだ。火の部族の軍の訓練場になっている」
「えっ」
ハクの言葉にユンが驚いたように顔を上げると、カナがユンの地図を覗き込んだ。
それを確認してユンが他の場所を指差す。
「じゃ、ここは？」
「そこは最近、開拓されて…」
「うわ。行ったらヤバかったね」
話し合う3人の姿をキジャはじっと見ていた。
そんな彼にフードを被ったヨナとAが駆け寄る。
『キジャ』
「どうしたの？」
「いえ…」
キジャが首を振るとハクとカナと話し合っていたユンがA達に駆け寄ってきた。
「決まったよ。ちょっと歩くけど候補地は3つに絞れた。たぶん、そこに里がある」
『本当？』
「意外と詳しいね、雷獣、カナ」
「ま、一応、国王専属護衛と将軍でしたから」
「各部族の軍事とか変化には敏感なのよ」
「今度教えてよ。
じゃ、行こう」
ユンの言葉に頷くとA達は目的の場所を目指して歩き出す。
そこからいろいろな場所をめぐるが全てキジャは首を横に振る。
途中、火の部族を見かけた時はAとヨナの口を塞いでハクとカナは物陰に隠れた。
そうこうしているうちに、とうとう日が暮れてしまった。
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fruit - すごく面白いです。でもセリフを誰が言っているのかわかりにくいです。 (2021年8月13日 21時) (
レス) id: 80d0b24791 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぃ?(プロフ) - 面白すぎて眠れません笑これからも頑張って下さい！ (2018年11月29日 2時) (レス) id: 20429ecf64 (このIDを非表示/違反報告)
あーさー - めっちゃ面白いです！ 暁のヨナを書き終わったら、FAIRYTAILの原作沿いでグレイ落ち書いてほしいです！笑 (2018年8月3日 15時) (レス) id: 3e9f6fbfb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さきっち
| 作成日時：2018年7月27日 19時
