第81話 「あちらへこちらへ」 ページ33
「…これは、何だ？」
「夕食ですけど何か？」
器の中に入っていた草を箸でつまみながら不思議な顔をするキジャにユンがしれっと返すと、キジャは「夕食？」と怪訝そうな顔をした。
「コレは、さっき山道に生えていたまさかの雑草ではないか!」
「雑草じゃないよ!ちゃんと食べれる山菜だから。嫌なら食うな。つか雑草だって食えるの」
「虫を入れなかっただけありがたく思いなさい」
「虫!?そなた、虫を食すのか!?」
「虫は栄養あんの」
キジャ、ユン、カナの3人のやり取りを聞きながら、間に挟まれたAとヨナは黙って食べていた。
するとキジャが黙って食べていたAとヨナに平気なのかと聞いてきて、それを聞いたカナとユンが、このような食事？と口の端を引き攣らせる。
「虫は、まだ食べれないけどだいぶ慣れたわ」
『だって私達、嫌がってるヒマなんてなかったし』
遠い目をしてそう語るAとヨナに思わずカナは器によそいながら苦笑する。
「でも、ユンが来てからかなり食事が美味しくなったんだから」
『ハクとカナと4人の時はもうヒドくて。…あらどうして泣いてるの？』
ヨナの言葉にユンがぴくっと反応する。
その隣で2人の話を聞いていたキジャは涙を流しながら(姫様、よほど過酷な旅を…)と2人の境遇に憐れんでいた。
「俺とカナのメシが何だって？」
嬉しそうにヨナの器によそっているユンに口を出しているカナとそれを見て笑っているヨナ。
そんな様子を見ていると後ろから声が聞こえてきてAは振り返った。
「聞きずてなりませんね」
目を覚ましたハクが木に寄りかかりながらAを見ていて、Aは急いでハクに駆け寄って腰をかがめた。
『ハク、起きたの。傷、大丈夫？』
「傷？何の事です？
それより俺たちのメシが何ですって？」
『メシ？何の事？
あ、お腹すいた？』
にっこりとハクに笑いかけるAにハクが、かわすよーになってきたじゃねーか。と思っているとヨナが近寄ってきて、Aにハクのご飯を差し出した。
『体、動かせる？食べさせてあげようか？』
「……」
『はい、口あけて』
そう言ってヨナから渡された器の中からご飯をスプーンでよそってハクに差し出すと、ハクはそれを一瞬見て、あ〜…と口を開けた。
「姫様っ、そのような雑用は私めが」
ニコリを笑みを浮かべながらAからスプーンを奪うとキジャはハクに差し出す。
そしてぎゃあぎゃあと言い合いを始めるハクとキジャ。
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fruit - すごく面白いです。でもセリフを誰が言っているのかわかりにくいです。 (2021年8月13日 21時) (
レス) id: 80d0b24791 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぃ?(プロフ) - 面白すぎて眠れません笑これからも頑張って下さい！ (2018年11月29日 2時) (レス) id: 20429ecf64 (このIDを非表示/違反報告)
あーさー - めっちゃ面白いです！ 暁のヨナを書き終わったら、FAIRYTAILの原作沿いでグレイ落ち書いてほしいです！笑 (2018年8月3日 15時) (レス) id: 3e9f6fbfb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さきっち
| 作成日時：2018年7月27日 19時
