第80話 ページ32
「ん？この辺に宿があるのか？」
「……野宿よ」
「のじゅく？」
「「白龍様は最後尾をてれっとついて来な」」
意味がわからないと目を丸くするキジャにユンとカナが親指をくいっとしながらそう言うと、何処からか「『うーん、うーん』」と気合の籠ったAとヨナの声が聞こえてきてユンが顔を向けると、2人はハクの髪を引っ張っていた。
「って何してんのお姫様っ」
「ハゲるよっ」とユンが声を上げると、カナが振り返ってAとヨナを見た。
『だってハク、動けないのよ。運ばないと……』
未だにハクを運ぼうとしている2人にカナがため息をついて足を向けようとするとそれより先にキジャがひょいっと軽く右手でハクを抱え上げた。
「キジャすごい!」
『力持ちねー』
「龍の腕は常人の何十倍もの力がありますから」
そう言ったキジャにヨナはAが持っていた矢の入った袋をキジャの左手に置く。
「右手だけなんですけど…」というキジャの左手はプルプルと震えていた。
心配そうにハクの顔を覗き込むAを見たキジャが口を開く。
「……大丈夫ですよ、この者は」
『えっ、うん…ハクは強いもの』
ユンとヨナとカナを追って歩き出すキジャとA。
『今は守られてばかりだけど、いつかは私が守りたい』
「…姫はずっと城におられたのに、お強いですね」
『強くなんかないわ』
「しかし、山賊にもあまり動じておられなかった」
『そうね…山賊は恐くない。
そう言って瞳を伏せるA。
「姉様ー!ユンが行くってー」
『わかったわ』
ヨナが呼ぶ声に返事をするとAはキジャより一歩先を歩いて振り返るとその顔に笑顔を浮かべた。
『ユン達が呼んでるみたい。行こ』
「……はいっ」
先を歩くAとそれに駆け寄るヨナの後ろ姿をキジャはじっと見つめた。
―――これは…緋龍王と桃龍を守る為与えられた、白龍の血のせいだろうか。
支えて差し上げたい。
強くあろうとする、泣き出しそうなか弱い背中を
支えて差し上げたいと願ってしまった―――
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fruit - すごく面白いです。でもセリフを誰が言っているのかわかりにくいです。 (2021年8月13日 21時) (
レス) id: 80d0b24791 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぃ?(プロフ) - 面白すぎて眠れません笑これからも頑張って下さい！ (2018年11月29日 2時) (レス) id: 20429ecf64 (このIDを非表示/違反報告)
あーさー - めっちゃ面白いです！ 暁のヨナを書き終わったら、FAIRYTAILの原作沿いでグレイ落ち書いてほしいです！笑 (2018年8月3日 15時) (レス) id: 3e9f6fbfb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さきっち
| 作成日時：2018年7月27日 19時
