第64話 ページ16
「カナ、当たらない。どうすればいいの？」
「ん？」
ヨナがそう声をかけるとカナとハクとAが振り返った。
そしてヨナの弓をカナが受け取ると、キリキリと弓を引いてヒュンッと矢を射る。
それはまっすぐ上空に飛んで行き、ボトッと一匹の鳥を撃ち落とした。
「こんな感じ」
「…それどうやったの？」
「狙う」
「…わからない」
「何が？」
天才は出来ない人の気持ちがわからない。
「カナは
「待て待て」
ムンドクがいればなーと言って歩き出すヨナを急いでカナが止めた。
それを見ていたAが、仕方ない…とヨナに近寄って、後ろから抱きしめるように弓を構えさせる。
『いい？矢をまっすぐ飛ばすには、まず震えずに弦を引く必要があるわ』
「うん」
『胴体をひねらない』
「こう？」
『そう。そのまま、もっと引く』
ヨナの手に軽く手を添えたAは、キリキリと弦を引いた。
『そして狙いを定めて…放つ』
バシュッと矢を飛ばすとそれは空を飛んでいた鳥を見事撃ち落とした。
「すごい、姉様!カナより教え方上手」
『そう？』
「まあ、A姫さんは弓の名手だからな。…姫さん、目に映るものに惑わされ過ぎないように」
「とりあえず今は真っすぐ矢を飛ばす事を考えなさいな」
ハクとカナがそう言うとヨナはそれから毎晩、一人で弓を射る練習をした。
・
・
「様になってきたんじゃない？弓を引く姿勢」
「本当？」
数日後。
ご飯を用意しながらそう言ったユンにヨナは嬉しそうに訊き返した。
それにユンが頷くとヨナはAへと視線を向ける。
その視線に頷いたAを見て、ヨナは嬉しそうに笑みを浮かべた。
「…生半可な気持ちなら武器は持たない方がいいよ」
「え？」
「人を殺すか、殺さないかの話。護身用とか言ってるけど、俺らのような力の無い人間が戦場に放り込まれて情けなんてかけられる立場？俺らは生き残るには容赦なく急所を狙う一撃必殺の技が卑劣な手段か、ココ、頭脳戦しかないってこと。
スキを作ったり手加減したりなんて器用なマネはあの雷獣とカナだから出来る事なんだよ」
そう言ったユンにヨナは考え込むように俯いた。
それを横目に見たユンはAへと視線を向ける。
「いつから弓やってたの？」
『昔からかな。ハク達に憧れてね』
「ふーん」
―――本当は持たせたくなかっただろうね―――
雷獣もお気の毒にとユンはため息をついた。
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fruit - すごく面白いです。でもセリフを誰が言っているのかわかりにくいです。 (2021年8月13日 21時) (
レス) id: 80d0b24791 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぃ?(プロフ) - 面白すぎて眠れません笑これからも頑張って下さい！ (2018年11月29日 2時) (レス) id: 20429ecf64 (このIDを非表示/違反報告)
あーさー - めっちゃ面白いです！ 暁のヨナを書き終わったら、FAIRYTAILの原作沿いでグレイ落ち書いてほしいです！笑 (2018年8月3日 15時) (レス) id: 3e9f6fbfb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さきっち
| 作成日時：2018年7月27日 19時
