第58話 ページ11
「わ、この服、ユンが作ったの?」
「別に。布が余ってたから。絹じゃないからお姫様は不満だろうけど。前のボロよりマシだろ」
『面白い服。気に入った』
Aは笑みを浮べてそう言うとヨナと顔を見合わせて笑い合った。
ヨナとAは色違いの服を着ている。
ヨナが赤と白に対し、Aは桃と白を着ているのだ。
『何か切る道具貸して。髪、揃える』
「「それで!?」」
壁にかかっていた斧をガコッと持ち上げたAにヨナとユンは思い切り突っ込んだ。
パサパサとAの髪をユンが切っていく所をヨナは少し離れた所から見ている。
「ったく、めんどくさ!これだからオヒメサマは」
『ありがと。ユンって何でも出来るのね』
「手のかかる神官がいるからね。あいつがケガばかりするから医術覚えたし、料理も完璧。欠点といえば美少年すぎるくらいだね」
『「それは聞いてない」』
Aとヨナが口を揃えて言った。
『………優しいね』
「は?」
「イクスの事もだけど、王族が嫌いだって言ってたのに。姉様の髪、切ってくれてる」
「……有料だよ、言っとくけど」
「治療代とか服代とか散髪も」と少し照れながらユンがそう言うとAは呆けた顔をしてニコリと笑みを浮べて人差し指を立てながら言った。
『えーと、ムンドクにつけといて!』
「ムンドク!?風の部族の英雄じゃん。つけられるかっ」
ユンがそう言うと話を聞いていたヨナが髪を切り終わったAの元に駆け寄った。
「ムンドクって英雄なの?」
「もっバカっ。ムンドクっていったらあのユホンと並び称される最強の武将だったんだから」
『ユンって何でも知ってるのね』
「天才だから仕方ない。
本は一回読めば暗記出来るし。でも、俺が呼んだのは一部の本だけ。世界には俺の知らない本がたくさんある」
そう言ってAの元を離れたユンにAは急いで立ち上がる。
『……あのね、ユン』
「ま、問題ないよ。本は少しずつ集めるし。俺は当分、この汚い本でいいや」
そう言って掲げた本にヨナは首を傾げた。
「その本は?」
「イクスのバカが俺の為につってゴミから漁って来たり何もない所で転んで破ったり」
「『恐るべきドジね』」
「マヌケだろ。神だ何だってうさんくさいけど、あいつが嘘つけないヤツだってのは、俺が一番知ってる…し………」
じっと自分を見つめるAとヨナに気付いたユンは照れくさそうに薬草が入っている籠を持って歩き出した。
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fruit - すごく面白いです。でもセリフを誰が言っているのかわかりにくいです。 (2021年8月13日 21時) (レス) id: 80d0b24791 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぃ?(プロフ) - 面白すぎて眠れません笑これからも頑張って下さい! (2018年11月29日 2時) (レス) id: 20429ecf64 (このIDを非表示/違反報告)
あーさー - めっちゃ面白いです! 暁のヨナを書き終わったら、FAIRYTAILの原作沿いでグレイ落ち書いてほしいです!笑 (2018年8月3日 15時) (レス) id: 3e9f6fbfb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2018年7月27日 19時