249話 『衝撃音』 ページ5
NOside
それと平行して、キリトとシュンは黒と青の弾丸のように空を駆け上っていく。幹の周囲を包む白い雲の群がぐんぐん近づいてくる。
リーファは必死に後を追い、顔を叩く風圧に耐えながら叫んだ。
リーファ「気を付けて、2人とも!!すぐに障壁があるよ!!」
だが、二人に声が届いた様子はなかった。天地を貫く二本の矢となった彼らは、仮想世界に孔を穿たんばかりの勢いで突進する。
何が彼らをここまで駆り立てるのだろう。
世界樹の上にいるというその誰かは、彼らにとってそれほど重要な人なのだろうか。
ユイとアイはその人のことを《ママ》《母さん》と呼んだ。女性なのだろうかーーー？
キリトとシュンがこうまでして捜し求めるその人たちはーーー？
そう考えた途端、リーファの胸の奥はずきんと痛んだ。和人に感じたものと似て非なる痛みだった。
集中力が乱れ、ズームの速度が鈍った。リーファは頭を振って雑念を払い落とし、全神経を背中の翅に集中する。
キリトとシュンに遅れること数秒、リーファも分厚い雲海に突入した。視界が濃蜜な白に染まる。
以前聞いた話が確かなら、この雲海の上はすぐに侵入不可能エリアに設定されているはずだ。わずかに速度を緩めつつ、雲の中を駆け抜ける。
不意に、眼前に濃紺の世界が広がった。
地上から見るのとは違う、染みひとつないコバルトブルーの空が無限に続いている。
頭上には、天を支える柱のごとく四方に枝葉を広げる世界樹の巨体。キリトとシュンはその一本目指して更に加速していくーーー
と、突然、彼らの体を中心に、ぱぁっと虹色の光が広がった。
数瞬遅れて、落雷の音にも似た衝撃音が大気を揺るがした。
見えない壁に激突したキリトとシュンが、銃に狙撃された鳥のように弾け飛び、力なく空を漂った。
リーファ「キリト君!!シュン君!!」
リーファは悲鳴を上げ、二人のもとへ急いだ。
この高さから墜落すれば、HPが吹き飛ぶのは勿論のこと、ログアウト後も現実世界に悪影響を引き摺りかねない。
しかし、リーファが追いつく前に、二人は意識を取り戻したようだった。
250話 『行かなきゃいけないんだ』→←248話 『ママたちがいます』
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闇月 - 面白かったです！できれば描かれなかった場面等も番外編として書いていただけると幸いです！ (1月19日 7時) (
レス) id: 089480a605 (このIDを非表示/違反報告)
高橋 - こんにちは！高橋と申します！！この作品本当に何回読んでも飽きません!どうかオーディナルスケールのも書いてほしいです!いつでも待ってます!これからも頑張って下さい! (2022年9月11日 22時) (レス) id: 1dbf6b758f (このIDを非表示/違反報告)
ひなの(プロフ) - 一気読みしました！ 今ある作品が完結してからでもガンゲイルオンライン書いてほしいです！ (2020年8月13日 19時) (レス) id: af6a216dc9 (このIDを非表示/違反報告)
MEGUMI(プロフ) - 一度ならず二度までも読破してしまいました(笑)オーディナルスケールは内容はあまり知らないけどアリシゼーションとアリシゼーションブレイディングは大体知ってるのでアリシゼーション編を書いてほしいなぁです！ (2020年7月4日 10時) (レス) id: 7610968079 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 是非、オーディナルスケール編も読んで見てみたいです。面白かったです。 (2019年10月31日 0時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さきっち
| 作成日時：2018年7月1日 22時
