277話 『愛らしい』 ページ35
和人side
濃いグリーンを基調にしたブレザーの制服の背に、ブラウンと赤混じりの黒の長い髪がまっすぐに流れている。
肌の色は抜けるように白く、しかし最近ではようやく頬にバラのような赤味が戻りつつある。
陽の光の反射でキラキラと輝く赤を混ぜた黒髪を風に靡かせ、紺のソックスを穿いた細い脚を組みながら隣の少女の肩に頭を乗せて目を瞑っているその姿はたとえようもなく愛らしく、俺は庭園の入り口で立ち止まると木の幹に手をかけ、無言で少女を眺め続けた。
隣にいた瞬斗も立ち止まり、黒のロングソックスを穿いた細い脚をぴんと揃えて伸ばし、ローファーのつま先でぱたぱたとレンガを叩きながら青い空を見上げつつ時折肩に頭を乗せる少女を愛おしそうな、優し気な眼差しで見る少女の姿を無言で眺めた。
と、目を瞑っていた黒髪の少女がふいに目を開けてこちらを振り返り、俺を見た途端ぱっと笑顔を浮かべた。
次いで澄ました表情を浮かべて、隣に座る少女の肩をつんつんと叩いて俺たちを指差した。
それに気づいた少女も瞬斗を見つけるとぱっと笑顔を浮かべるが、澄ました表情を浮かべて瞼を閉じると、ふん、というふうに顔を逸らせる。
俺たちは苦笑しながらベンチに近づき、声をかけた。
和人「お待たせ、A」
瞬斗「待たせて悪いな、アスナ」
アスナはちらりと俺達を見上げると、唇を尖らせた。
明日奈「もう、どうしてシュンくんとキリトくんはいつも影からこっそり見てるのよう」
瞬斗「悪い悪い」
和人「うーむ、ひょっとしたら俺たち、ストーカーの素質があるかもしれん」
『えー……』
嫌そうな顔で身を引くAの隣にどかっと腰を下ろし、俺は大きく伸びをした。
瞬斗もアスナの隣に腰を下ろす。
和人「ああ……疲れた……腹減った……」
明日奈「なんだか年寄りくさいよ、キリトくん」
瞬斗「実際この一ヶ月で五歳くらい歳取った気分だよなぁ……それとーーー」
瞬斗は頭の後ろで手を組み、アスナの顔を横目で見る。
瞬斗「キリトじゃなくて和人だぞ」
『ここじゃ一応キャラネーム出すのはマナー違反だからね』
明日奈「あ、そっか。つい……ってわたしはどうなるのよ!バレバレじゃないの」
『本名をキャラネームにしたりするからだよ』
和人「……まぁ、俺たちもなんかバレてるっぽいけど……」
この特殊な《学校》に通う生徒は全て、中学、高校時代に事件に巻き込まれた旧SAOプレイヤーである。
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闇月 - 面白かったです！できれば描かれなかった場面等も番外編として書いていただけると幸いです！ (1月19日 7時) (
レス) id: 089480a605 (このIDを非表示/違反報告)
高橋 - こんにちは！高橋と申します！！この作品本当に何回読んでも飽きません!どうかオーディナルスケールのも書いてほしいです!いつでも待ってます!これからも頑張って下さい! (2022年9月11日 22時) (レス) id: 1dbf6b758f (このIDを非表示/違反報告)
ひなの(プロフ) - 一気読みしました！ 今ある作品が完結してからでもガンゲイルオンライン書いてほしいです！ (2020年8月13日 19時) (レス) id: af6a216dc9 (このIDを非表示/違反報告)
MEGUMI(プロフ) - 一度ならず二度までも読破してしまいました(笑)オーディナルスケールは内容はあまり知らないけどアリシゼーションとアリシゼーションブレイディングは大体知ってるのでアリシゼーション編を書いてほしいなぁです！ (2020年7月4日 10時) (レス) id: 7610968079 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 是非、オーディナルスケール編も読んで見てみたいです。面白かったです。 (2019年10月31日 0時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さきっち
| 作成日時：2018年7月1日 22時
