256話 『これを使え』 ページ12
キリトside
難易度を極限まで上昇させるに留まらず、扉に絶対に解除できない、システム権限という名の鍵に掛けられているというのか……？
全身から力が抜けるのを感じた。背後に、俺たち目掛けて津波のように殺到してくる守護騎士の叫びが響く。しかしもう、剣を握りなおす気力も湧かなかった。
ーーーランカ、ここまで、ここまで来たのに……もう少しで、手の届くところまで……。
君の手からこぼれた一片の温もりが、あれが、俺たちの最後の触れ合いなのか……？
ーーーいや。待て。あれは、あれは確か……
俺は目を見開いた。左手で、腰のポケットをまさぐる。あった。小さなカード。ユイは言った。これは、システムアクセス・コードだと……。
キリト「ユイーーーこれを使え!」
俺は引っ張り出したシルバーのカードを、ユイの眼前に差し伸べた。ユイも一瞬目を丸くし、次いで大きく頷いた。
小さな手がカードの表面を撫でる。光の筋がいくつか、カードからユイへと流れ込む。
ユイ「コードを転写します!」
一声叫ぶと、ユイは両の掌でゲートの表面を叩いた。
俺たちはあまりのまばゆさに目を細めた。ユイの手が触れた箇所から、放射状に青い閃光のラインが走り、直後、ゲートそのものが発光を始めた。
ユイ「ーーー転送されます!!パパ、掴まって!!アイたちもパパに掴まってください!!」
ユイが伸ばした小さな右手を俺は左手の指先でしっかりと摑んだ。その俺の腕をシュンとアイが摑む。光のラインは、ユイの体を伝わり、俺たちの中にも流れ込んできた。
突然、頭のすぐ後ろで守護騎士どもの奇声がした。体を固くするのも束の間、何本もの大剣が降り注いできた。
だがーーー、それらの剣は、まるで実体を失ったかの如く、何の感触ももたらさずに俺たちをすり抜けた。
いや、透過し始めているのは俺たちの方か。
体が薄れ、光に溶けていく。
キリト,シュン「ーーー!!」
不意に、前方に引っ張られた。すでに白く輝くスクリーンへと変貌していたゲートの中へ、俺たちはデータの奔流となって突入した。
意識の空白は一瞬だった。
数回頭を振り、ぱちぱちと瞬きをしながら俺とシュンは転送感覚の余韻を払い落とした。アインクラッドで転移結晶を使った後に似ていたが、必ずゲート広場の喧騒の中に出現したあれとは異なり、周囲は完全な静寂に満ちていた。
片膝をついた姿勢から、俺たちはゆっくりと立ち上がった。
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闇月 - 面白かったです！できれば描かれなかった場面等も番外編として書いていただけると幸いです！ (1月19日 7時) (
レス) id: 089480a605 (このIDを非表示/違反報告)
高橋 - こんにちは！高橋と申します！！この作品本当に何回読んでも飽きません!どうかオーディナルスケールのも書いてほしいです!いつでも待ってます!これからも頑張って下さい! (2022年9月11日 22時) (レス) id: 1dbf6b758f (このIDを非表示/違反報告)
ひなの(プロフ) - 一気読みしました！ 今ある作品が完結してからでもガンゲイルオンライン書いてほしいです！ (2020年8月13日 19時) (レス) id: af6a216dc9 (このIDを非表示/違反報告)
MEGUMI(プロフ) - 一度ならず二度までも読破してしまいました(笑)オーディナルスケールは内容はあまり知らないけどアリシゼーションとアリシゼーションブレイディングは大体知ってるのでアリシゼーション編を書いてほしいなぁです！ (2020年7月4日 10時) (レス) id: 7610968079 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 是非、オーディナルスケール編も読んで見てみたいです。面白かったです。 (2019年10月31日 0時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さきっち
| 作成日時：2018年7月1日 22時
