【名探偵コナン】 双子は美少女で名探偵と怪盗!? から紅の恋歌

49話 ページ49

誰にも知られまいと隠してきた恋心は、とうとう顔色に出るまでになってしまった。
何か物思いをしているのではと人に尋ねられてしまう程に───。

蘭「隠して隠し切れない恋の歌……和葉ちゃんにピッタリかも」

蘭に言われて、和葉は照れくさそうに札を取った。

和葉「せやかて、何であの人あない自信たっぷりなんやろ？まるで平次の婚約者きどりや。なぁ、蘭ちゃんもそう思うやろ？」

蘭「そっ、そだね」

蘭は内心ギクリとしながら答えた。

(い、言えない。服部君が子供の頃、紅葉さんにプロポーズしてたなんて……)





ホテルに戻ってきたコナンと愛梨と平次は、阿知波がホテル住まいをしている最上階のスイートルームでスクラップブックを手渡された。
そして、実は試合前日に名頃が皐月と勝負をしに阿知波の自宅を訪れていたことを告げられた。

平次「何ぃ？ホンマかそれ!?」

阿知波「ああ……私が留守にしてた間にな。その記事には、名頃は皐月との試合が怖くなって逃げたと書かれているが、実は前日に来てたんや」

記事には『阿知波皐月 不戦勝!』や『名頃 試合放棄』の見出しがつけられていた。

平次「けど、何で前の日に？」

平次が尋ねると、阿知波は「さぁ……」と顎に手を当てた。

阿知波「名頃に訊かんとわけはわからへんけど……もしかしたら、皐月会のかるた札を使って倒すことが目的やったかもしれんと皐月は言うとった」

平次「あのかるた、使ったんか？」

コナン「でも、皐月会のかるた札って普段は博物館に保管してあるんだよね？」

平次とコナンが立て続けに訊ねる。

阿知波「その当時は窃盗に遭うこともあらへんかったし、ウチで預かってたんや」

愛梨「けど、読手がいないと試合できないんじゃないの？」

愛梨に訊かれて、阿知波は棚に並んだカセットテープを見た。

阿知波「棚にぎょうさんカセットテープが並んでるやろ？一昔前は、アレ使てかるたの練習してたんや」

平次「ほんで、試合はどうなったんや」

阿知波「結果は皐月の圧勝やった。名頃は手も足も出なんだそうや。私が帰宅したとき、ちょうど彼が真っ青な顔で玄関から逃げるように去っていったのを覚えてる。彼の姿を見たんは、それが最後……」

平次「そのことを何で警察に言わへんかったんや？」

平次の問いに阿知波は険しい表情で俯いた。

阿知波「言えば、マスコミや会員たちに漏れる恐れがある。あの由緒あるかるたを個人的な勝負に使ったとわかれば、会員たちの反発も起こるやろう」

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