12話 ページ12
隣のビルの玄関に移動したコナンと愛梨は、あちこちから黒煙が噴き上がるテレビ局を見上げた。
メガネの追跡機能を起動させると、平次の現在位置を示す赤い点がレンズに表示された。
驚いたことに、赤い点はビルの上へと移動している……。
コナン「まさか服部、上ってんのか!?」
愛梨「え、嘘でしょ!?」
コナンと愛梨はクッと歯噛みした。
平次が理由もなくやみくもにビルを上るわけがない。
コナン「考えられる理由は、ただ一つ。下りることができなかったから……」
愛梨「そうだとしたら、向かう場所はあそこしかないでしょ!」
二人は顔を見合わせると走り出し、隣のビルの中へ入っていった。
テレビ局の隣のビルにも避難指示が出て、各階のエレベーターホールでは大勢の人がエレベーターが来るのを待っていた。
愛梨「ごめんなさい!」
コナン「通してー!!」
エレベーターの扉が開くやいなや、スケボーに乗った愛梨とコナンが飛び出した。
廊下を駆け抜けて、テレビ局側の窓へ向かう。
愛梨「ダメだよ新一!煙で何も見えない!」
コナン「くそっ!」
位置的にテレビ局の屋上が見下ろせるはずだが、立ちのぼった黒煙で何も見えない。
スケボーに愛梨を乗せたコナンはもうもうと立ち込める黒煙をくやしそうに見ながら、廊下を進んだ。
屋上の火はどんどん燃え広がり、床がみるみるうちに溶けて崩れていった。
むき出しになった鉄骨は崩れ落ちたガレキに押され、メキメキと音を立てて跳ね上がっていく。
煙を避けて壁際に寄った平次と和葉にも、刻一刻と火の手が迫っていた。
マズイな───じわじわと迫る火の手ともうもうと広がる黒煙を見て、平次は思った。
このままでは、救助が来るまでもたない。
(オレ一人やと無理や……オレ一人やとな……!!)
噴き上がる煙に和葉がゴホゴホと咳き込み、平次は和葉を抱き寄せた。
(A……!工藤……!!)
ズドオオオォォン!!
屋上で跳ねあがった鉄骨が傾いて落下し、さらに爆煙が上がった。
その衝撃で、隣のビルの窓もビリビリと振動した。
スタジオの屋上を望む窓から一直線に延びた廊下の先に、コナンと愛梨は立っていた。
廊下の中央にスケボーを置き、コナンが伸縮サスペンダーを右手に持っている。
コナン「一か八か、やるっきゃねぇ……。いいか、A」
愛梨「準備OK」
コナンが左レンズのレーダーを消してスケボーに乗ると、愛梨はしゃがみ込んでキック力増強シューズのダイヤルを回した。
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マロン - 立て続けのコメント失礼します!から紅の恋歌のあとは紅の修学旅行書いて欲しいんですけどいいですか?二回目ですけど応援してます!頑張ってください!! (2019年9月21日 20時) (レス) id: 81eb5f8e4a (このIDを非表示/違反報告)
さきっち(プロフ) - マロンさん» ありがとうございます!(泣) (2019年9月8日 2時) (レス) id: f5cfe9f7a0 (このIDを非表示/違反報告)
マロン - 夜にすみませんいつも楽しんで読ませてもらってます!瞳の中の暗殺者の「大切だからだよ!」ってセリフのところ、夢主ちゃん(愛梨ちゃん)かっこよすぎじゃん、えマジでかっけーってなって家族に変な目で見られましたρ(тωт`) イジイジこれからも応援してます! (2019年9月7日 21時) (レス) id: 81eb5f8e4a (このIDを非表示/違反報告)
さきっち(プロフ) - 愁さん» 夢小説なので。ここでは夢主ちゃんが主人公なので新一くんの言葉をとるときはあります (2019年2月7日 20時) (レス) id: 8c299fa2e0 (このIDを非表示/違反報告)
さきっち(プロフ) - 愁さん» 新一くんは夢主ちゃんと付き合っているんですよ。蘭は新一より夢主の方が好きという設定です。一応設定に書いてありますけど (2019年2月7日 20時) (レス) id: 8c299fa2e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2018年9月2日 17時