52話 ページ2
愛梨「どうして小五郎のおじさんを巻き込んだの?」
安室はフッと口の端を持ち上げた。
安室「……僕は立場上、公に捜査できないし、彼を事件に巻き込めば君たちは必然的に『協力者』になる」
愛梨,コナン「!」
安室「そうすれば、君たちの本気の力が借りられるんだろ?」
安室は苦々しく笑いつつも、その表情はどこか晴れ晴れとしていた。
愛梨,コナン「……買いかぶりすぎだよ」
二人も肩をすくめて苦笑いした。
三人はしばし無言のまま見つめ合うと、背中を向けて別々の方向に歩き出した。
いつの間にか雲が去り、空にはこうこうと輝く月が出て、誰もいなくなった屋上を照らし出した。
愛梨「透さん!」
コナンに待っててもらった愛梨は、安室の後を追いかけた。
左肩を抑えたままの安室が振り返って愛梨を見る。
安室「愛梨ちゃん……?」
愛梨「ちょっとしゃがんで」
手招きしてしゃがむように言う愛梨に安室は目を瞬かせながらもしゃがみ込むと愛梨は持っていたハンカチをビリビリと破いた。
安室「愛梨ちゃん、一体何を……?」
愛梨「いいからじっとしててよ」
愛梨は背伸びをして安室の肩に破いたハンカチを撒いた。
ぎゅっと結ぶと桃色のハンカチに鮮血が滲む。
愛梨「一応応急処置かな。いくら透さんでもこのままっていうのはキツいだろうし」
安室「ありがとう」
愛梨「いいえ」
ニコリと笑みを浮かべた愛梨は後ろから自分の名前を呼ぶコナンの声に一度振り返ると、立ち上がった安室を見つめた。
愛梨「それじゃ……」
走り出そうとした愛梨の肩を安室は掴んだ。
掴まれた事に驚きの表情を見せた愛梨はパチパチと目を瞬かせながら安室を見上げる。
愛梨「透さん……?」
安室「愛梨ちゃんは……年の差の恋愛ってあると思うかい?」
愛梨「……………はい?」
たっぷり10秒かけてそう言い返した愛梨は、真剣な顔で自分を見る安室から目を逸らして夜空に浮かぶ月を見上げた。
煌々と輝く月を自分の目に収める。
愛梨「恋愛に年とか関係ないんじゃないかな……。好きになったらそんなの気にならないと思うよ」
目を細めて大人びた微笑みを浮かべる愛梨を安室はしばし無言で見詰めた。
コナン「おい、愛梨。行くぞ!」
愛梨「今行くー!」
此方を見ているコナンに手を振り返した愛梨は、安室を振り返ってニコリと笑みを浮かべるとコナンの元へ走り出した。
その背を見つめながら安室はくしゃりと無造作に髪をかき上げた。
安室「参ったな……」
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ちゅん(プロフ) - とても面白かったです!!!ラストの安室さんとの絡み凄く好きでした!もっと安室さんとの絡みみたいです笑笑 (2022年4月28日 23時) (レス) @page3 id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
十六夜の夜に咲き誇る華(プロフ) - 次回作のから紅の恋歌楽しみにしています! (2018年9月2日 11時) (レス) id: 25ecde7308 (このIDを非表示/違反報告)
アニメLOVE - この作品大好きです!次回作楽しみにしてます! (2018年9月1日 22時) (レス) id: 539a424d8d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2018年9月1日 19時