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36話 ページ36

逮捕された羽場が拘置所へ移送されると、日下部はすでに拘置所へおもむき、羽場と接見した。
接見室に現れた羽場は日下部と目を合わせることなく透明の防護板の前に座り、日下部は刑務官に目で合図をして本来はしない退室をしてもらった。

日下部「……なぜ、私の『協力者』だと取り調べで言わなかった?」

羽場は顔を上げて日下部をチラリと見ると、首を小さく横に振った。

羽場「私のミスで、あなたから公安検事の身分を奪うわけにはいかない」

日下部は思わず身を乗り出し、防護板に顔を寄せた。

日下部「私のことより今は自分のことを───」

羽場「正義の身分を奪われたつらさを、私は誰よりも知っている」

羽場はそう言って悔し気にうつむいた。
バンッ。日下部は二人を隔てる防護板を叩いた。

日下部「頼む!自分の人生を考えてくれ!」

羽場は顔を上げると、防護板越しに日下部の手と自分の手を重ねた。

羽場「自分の人生より、多くの日本人の人生の方がずっと大切だ」

日下部「……!!」

それは、日下部が口癖のように言っていた言葉だった。

羽場「いつも言っていた、あなたのその志は、私も同じだ」

それまでやつれた顔をしていた羽場が、凛とした眼差しを向ける。
日下部は何も言えず、奥歯を噛み締めた。
何が起ころうと己の信念が決して変わらないように、羽場の意志もまた、どう説得したところで変わらない───日下部は悟った。





羽場の窃盗事件を担当する紗世子に全てを話すことを決意した日下部は、東京地検のエントランスホールが見渡せる通路に紗世子を呼び出した。

日下部「羽場は私の協力者だ。彼が窃盗事件を起こしたのも私が───」

紗世子「それでも彼を起訴します」

日下部「何!?」

エントランスホールを見下ろしながら話していた日下部は、驚いて紗世子を振り返った。

日下部「まさか、また公安警察に───」

紗世子「安心して。彼の口から名が出ないよう、裁判はうまくやってみせるわ」

そう言って笑みを浮かべた紗世子は、ポンと日下部の肩に手を置いた。

日下部「そんな話をしてるんじゃない!」

日下部に手を振り払われた紗世子は、平然とした顔で歩いていった。





後日、日下部は公安警察に直談判しようと警視庁へ向かった。
正門を通ろうとしたところで、ポケットのスマホが震えた。
紗世子からだ。

日下部「はい」

紗世子『羽場が自 殺したわ』

日下部「は?」

日下部は思わず持っていた鞄を落とした。

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レモン - 14話の風見さんのセリフ、2291だったと思います…。 (2020年2月16日 11時) (レス) id: 2c1ae78a3f (このIDを非表示/違反報告)
さきっち(プロフ) - セレーナさん» 教えてくださりありがとうございます! (2018年9月12日 17時) (レス) id: 8c299fa2e0 (このIDを非表示/違反報告)
セレーナ - 18話のじぇけッとはジャケットだと思うわ (2018年9月12日 16時) (レス) id: d7a9e3a4b0 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜の夜に咲き誇る華(プロフ) - ページ44の台詞間違えてます、公園じゃなくて公安ですよ (2018年8月29日 20時) (レス) id: 25ecde7308 (このIDを非表示/違反報告)
さきっち(プロフ) - セレーナさん» 本当ですね。ありがとうございます! (2018年8月23日 4時) (レス) id: 8c299fa2e0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さきっち | 作成日時:2018年6月22日 22時

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