11話 ページ11
スケボーを抱えたコナンと愛梨が妃法律事務所に戻ってくると、事務所の前に若い女性が佇んでいた。
(誰だ?)
二人は女性のジャケットの襟に弁護士記章がついているのに気づいた。
事務所の前に立っていたその女性弁護士は、橘境子と名乗った。
少しはねたショートカットの髪に丸メガネをかけた境子は、地味なパンツスーツといいどことなく野暮ったい印象を受ける。
英理「え?今なんて?」
自分のデスクで話を聞いていた英理は、驚いたように顔を上げた。
境子「ですから、私、橘境子に『眠りの小五郎』を弁護させてください!」
境子はそう言って元気よくお辞儀をした。
そしてコナンと愛梨と蘭がぽかんと見つめる中、鞄から資料を取り出して英理の前に置いた。
境子「私がこれまでに扱った事件です」
それは数ページのコピーをクリップで留めた三、四部ほどの物で、英理はササッとデスクに広げて見た。
英理「『二条院大学過激派事件』に『経産省スパイ事件』……公安事件が多いのねぇ」
蘭「あ、じゃあ今回の事件にピッタリ───」
蘭が言い終わらないうちに、コナンがたずねた。
コナン「それで、お姉さんの裁判の勝敗は?」
境子「え?ボク、難しい言葉知ってるのね」
驚いて振り返った境子は、コナンの目線に合わせるように腰を落とした。
境子「全部負けてるの」
コナン,愛梨「え……」
ドン引きするコナンと愛梨のそばで、蘭が「は?」と固まる。
英理「あ……でも、公安事件は難しいのよね」
資料を読んでいた英理がフォローすると、境子は「はい」と立ち上がった。
境子「検察が起訴した事件の勝率が、ご存知のとおり九割以上」
英理「それが公安事件だともっと上がる」
境子「つまり勝てるわけないんです」
境子はケロッとした顔で言うと、スマホを取り出して見せた。
境子「でも私は『ケー弁』なので……」
蘭「ケーベン?」
蘭が訊き返すと、英理が代わりに説明した。
英理「事務所を持たず携帯電話で仕事を取る、フリーの弁護士のことよ」
境子「だから不利な裁判でもやらないと!」
と言う境子を、蘭は怪訝そうに見つめた。
蘭「……それでお父さんの裁判を?」
境子「弁護士を探してるんですよね?弁護士会で聞きました。やらせてください!」
英理に向き直った境子は真剣な顔つきだった。
英理「そうねぇ……」
蘭「ちょ、ちょっとお待ちください!」
蘭はそう言って英理を部屋の奥へ引っ張った。
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レモン - 14話の風見さんのセリフ、2291だったと思います…。 (2020年2月16日 11時) (レス) id: 2c1ae78a3f (このIDを非表示/違反報告)
さきっち(プロフ) - セレーナさん» 教えてくださりありがとうございます! (2018年9月12日 17時) (レス) id: 8c299fa2e0 (このIDを非表示/違反報告)
セレーナ - 18話のじぇけッとはジャケットだと思うわ (2018年9月12日 16時) (レス) id: d7a9e3a4b0 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜の夜に咲き誇る華(プロフ) - ページ44の台詞間違えてます、公園じゃなくて公安ですよ (2018年8月29日 20時) (レス) id: 25ecde7308 (このIDを非表示/違反報告)
さきっち(プロフ) - セレーナさん» 本当ですね。ありがとうございます! (2018年8月23日 4時) (レス) id: 8c299fa2e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2018年6月22日 22時