第28話 ページ30
「すぐに寝床と食事の用意を」
「はっはい」
ハクのそう言われたヘンデが答えるが周りの人たちはハクの行動に驚いていた。
あの若長が女性に優しくしてる…と思いながらハクを見ているとヨナに駆け寄って、体調を聞いたカナがあたりを見回して口を開いた。
「ムンドク長老はどこにいるの?」
「長老なら緋龍城だよ」
カナとハクとヨナは目を見開いた。
「何…?」
「やっぱり知らないんだ。急に城から五部族召集令が下ったんだよ」
ヘンデの言葉にカナは眉を顰めた。
「五部族会議だって…?」
「普通なら城にいる若長が出席すれば良いでしょ。既に将軍を退いたムンドク長老が呼ばれたから変だなと思ったんだ。
ハク様はやっぱりクビですか?」
「あら、じゃあカナも?」
茶化しながらそう聞く皆にハクとカナは黙り込んで俯いた。
ヨナも目を泳がせながらカナの袖を摑んでいる。
五部族招集ーーー各部族の長が集まり協議する場。
高華王国は火・水・風・地と王族「空」を加えた五つの部族を中心として政治を行う。
各部族の長は「将軍」と呼ばれ王と部族を守護する最強の戦士であった。
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目を覚ましたAは布団から上半身を起こすと周りを見渡して首を傾げた。
(どこ…?服、新しい。いい匂い)
自身の服が新しい物になっているのに気付いて見下ろすと近くから香しい匂いがして視線を下げた。
お盆の上に揃えられている食べ物。
そこにあった御粥の蓋をあけると湯気が立ち上る。
Aはそれを掬って食べると目尻に涙を溜めた。
「……なんで泣くんだ?」
「姉様!」
「ま…不味かった…?」
ヨナと一緒に入ってきた男の子の質問に、Aは抱き着いてきたヨナを抱き留めながらふるふると首を横に振った。
『あ…温かくて…』
「温かくて泣くのか、変なヤツだな」
『ち…父上を……思い出して』
Aがたどたどしくそう言うとヨナが静かに目を伏せた。
すると男の子がAの布団の上に登ってきて目尻に溜まった涙を拭ってくれた。
「俺はテヨン。ハク兄ちゃんの弟だ」
『ハクの…弟……』
ハクに弟なんていたんだ…と思うヨナ。
「お前はハク兄ちゃんの友達か?」
『……………………たぶん』
その言葉にAが少し考え込みながらそう答えるとガラッと扉が開いた。
「「たぶん友達ーーッ!?」」
突然の行動にびくっと思わず震えるヨナとA。
そんな2人を置いて、テウとヘンデは泣きながら口を開く。
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ムーミン一家 - 暁のヨナ、私も最近ファンになりました!面白いですよね〜ちなみに私はジェハ押しです。これからも頑張って下さい! (2018年7月21日 23時) (レス) id: 8c840e0186 (このIDを非表示/違反報告)
鈴木美妃(プロフ) - ファンになりました。早く続きが読みたいです。これからも更新楽しみにしてます。頑張って下さい。応援します。 (2018年7月7日 19時) (レス) id: 6d5e66c80d (このIDを非表示/違反報告)
ルイナ(プロフ) - 待ってました!更新これからも頑張ってください♪ (2018年7月6日 18時) (レス) id: 29bcf3ece3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2018年7月6日 17時