第32話 ページ34
そして傍にいたカナに視線を向ける。
「カナも…元気そうでよかった」
「お陰さまで」
ニコリとカナが笑うとムンドクは何度も頷く。
するとハッと気付いたようにカナの隣で成り行きを見守っていたハクへと近寄った。
「ハク…」
「よおじじい」
ハクへと近寄って両腕を広げたムンドクに、そのムンドクの額を指で押さえるハク。
その2人を見てカナはため息をつくと関わりたくないとばかりにAとヨナの元へ歩き出した。
そんなカナの背後ではゴゴゴゴと音が付きそうな程のハクとムンドクの会話が続いている。
「愛の抱擁をよけるヤツがあるか」
「受け取ってるぜ、指先でな」
「じっちゃん、俺も俺もー」
そんな2人の攻防はテヨンの愛らしい声で収まった。
ムンドクがテヨンにたかいたかいをしていると、村の奴等の声が聞こえてきてA達は振り返った。
「ヘンデ、どうしたんだお前…っ」
振り返った先にいたのはボロボロのヘンデ。
そんなヘンデはへらりと笑うと片手を上げた。
「あ、長老もいたんだ。お帰りー…」
「ヘンデ、その傷は…」
「上流で何があった!?」
「大丈夫!?」
「いやはや、ちょっと失敗しちゃった」
ムンドクとハクとカナが慌ててヘンデに駆け寄る。
「上流に行ったらびっくり。火の部族のヤツらが川を塞き止めてたのさ。何それ、新たなイジメ?みたいな。思わず武装したヤツらにケンカ売っちゃったのねー。そしたらボコボコでポイよ」
そう言うヘンデに思わずカナは「軽いな」と小声で突っ込んだ。
ムンドクがヘンデの報告に顔を険しくさせる。
―――火の部族…―――
「火の部族のヤツら、何してくれちゃってんだ?」
「俺らと戦争でもやんのか!?風の部族ナメてっと雷獣と黒豹出すぞ、コラ」
「え、それあたしも入っちゃってんの」
思わずカナが突っ込むが無視されて終わった。
「ハク様、俺に行かせて下さい」
「……待て。火の部族に手を出してはならん」
ムンドクの言葉に思わずカナは目を見張った。
そして顔を顰めてムンドクを見つめる。
そんなカナの傍で村の者たちはムンドクの言葉に反論した。
「どうして!?ヤツら川を止めてヘンデを殺したんスよ」
「生きてるつもりー」
「そうですよ、長老。このままだと風牙の都が」
「落ち着け。川の事なら心配いらん。とにかくヘンデの治療を急げ」
「はい」
つもりーと未だに言っているヘンデはテウに連れられて治療に向かった。
それを見たハクがムンドクを振り返る。
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ムーミン一家 - 暁のヨナ、私も最近ファンになりました!面白いですよね〜ちなみに私はジェハ押しです。これからも頑張って下さい! (2018年7月21日 23時) (レス) id: 8c840e0186 (このIDを非表示/違反報告)
鈴木美妃(プロフ) - ファンになりました。早く続きが読みたいです。これからも更新楽しみにしてます。頑張って下さい。応援します。 (2018年7月7日 19時) (レス) id: 6d5e66c80d (このIDを非表示/違反報告)
ルイナ(プロフ) - 待ってました!更新これからも頑張ってください♪ (2018年7月6日 18時) (レス) id: 29bcf3ece3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2018年7月6日 17時