第30話 ページ32
「リナちゃん。ちょっとリナちゃん」
後ろからそう呼ばれたヨナは振り返った。
「あっ…はい。(私の事か…)」
「ぼーっとした子だね。昨日はよく眠れた?」
そう問いかけるおばさん。
「あんた城の女官なんだってね。城で料理も裁縫も掃除も洗濯も琴も舞も出来なかったから追い出されてここで修行するって?そりゃアンタもう女やめな〜」
そんな事を言われたヨナは思わず口を開けてぽかんと固まってしまった。
そんなヨナにおばさんは洗濯物をどさっと渡す。
「とりあえずイチから教えるから。まずコレ、洗っといで」
「あっ洗うって…?」
「川で洗うに決まってるだろ」
「川って……」
ヨナがそう言って、とりあえず歩き出そうとするとひょいっひょいっひょいっと洗濯物を取られた。
顔を上げた先にはハクとカナとAが少量ずつ洗濯物を持っていて、ヨナは目を見開いた。
「こっちですよ、女官殿」
そう言って歩き出す3人の後ろをヨナが急いで追いかける。
「………」
『どうしたの?』
黙ってAの隣を歩くヨナに、顔を覗き込みながら問いかける。
「…琴と舞は…姉様にはかなわないけどちょっとなら出来るわ」
「あー、あの不協和音な琴ねーー」
そうハクが言うとむぅ…と口を尖らせたヨナ。
それを見たカナがぼそりと呟いた。
「少し戻ってきたわね」
「え…」
「何でもありません」
Aとハクはカナの言葉が聞こえていたので目を合わせた。
そこでハッと何かを思い出したAはハクに問い掛ける。
『ハクに…弟がいたのね。可愛くて…ハクに似てない』
「その言い方トゲありますね」
「テヨンは俺と同じじっちゃんが拾って来た子なんですよ。じっちゃんはみなし子放っとけないからなー」
「あぁ、ムンドク様はそうかもね」
カナが前を向きながら同意するように頷いた。
「テヨンは俺と違って体が弱い。だから特別、皆が大事にしてるんです。昨日はちょっとはしゃぎすぎてたな」
「さて、着きましたよ」
川に到着するとカナとハクは持っていた洗濯物を岩の上に置いた。
「そこの川で洗濯するんです」
「ここの川は風の部族にとって命の水だから大事に……」
カナとハクがそう言うとAが川を見ながら口を開いた。
『ハク…カナ…出来ない…』
「「あのな、まだ何もしとらんだろーが!」」
そう言って振り返った2人にヨナが口を開いた。
「だって水がない…」
「川が…」
「枯れてる…!?」
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ムーミン一家 - 暁のヨナ、私も最近ファンになりました!面白いですよね〜ちなみに私はジェハ押しです。これからも頑張って下さい! (2018年7月21日 23時) (レス) id: 8c840e0186 (このIDを非表示/違反報告)
鈴木美妃(プロフ) - ファンになりました。早く続きが読みたいです。これからも更新楽しみにしてます。頑張って下さい。応援します。 (2018年7月7日 19時) (レス) id: 6d5e66c80d (このIDを非表示/違反報告)
ルイナ(プロフ) - 待ってました!更新これからも頑張ってください♪ (2018年7月6日 18時) (レス) id: 29bcf3ece3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2018年7月6日 17時