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第25話 ページ27

ザザザと揺れる木々の間をすり抜けて辺りを見渡しながら探す。
ザワザワと木々が揺れた。
頭に浮かぶのは自分の髪が綺麗と言ったスウォンの顔と、目の前で殺されたイルの姿。

思わず耳を押さえて蹲ったAは、風に後押しされるように立ち上がると夜道を歩き出した。
だが、すぐに何かに気づいて足元に視線を落とす。

蛇が自身の足に絡みついていた。



ーーー《貴方達の知っているスウォンは最初からいなかったんです》


《道を阻む者があれば切り捨てます》ーーー



蛇が口を開いて襲い掛かる。


『いや…あ…!』


その瞬間、ハクが駆けつけてAを抱き寄せた。
その姿に目を見開いてハクを見つめる。


「無事か!?」


地面に倒れ込んだAの視線の先にはハクの大刀で刺された蛇の姿。


「なかなか戻らないと思ったら、どうしてこんな所まで!?」


冷や汗を流して唖然と蛇を見つめるAの肩を摑んで強引に自分と目を合わせる。


「この蛇は毒を持っている。暗闇では足を滑らせて転落するかもしれない。そんな場所を一人で…!

死にたいのか!?」


その言葉にAが震えていると、近くでシャーという音が聞こえて足元に視線を落とした。
ハクと自分の足元に群がる蛇の大群。


「くそ…巣窟かよ、ここは」


ハクはグイとAを横抱きにすると自身の大刀を持って走り出そうとする。
それにAが目を見開いているとガッと一匹の蛇がハクの足に噛みついた。
思わずフラつくハクにAが、


『ハク…ッ』


と声をかける。


「ち…上等だ。
黙ってしがみついてなお姫さん」

『あ…』

「俺を道具だと思えばいい」


ハクはAを抱えたままカナたちが待っている場所へと一気に森の中を駆け抜けた。


「陛下がいない今、俺の主はあんただ。あんたが生きる為に俺を使え。

俺はその為にここにいる」
















「ちょっとどうしたの、その足!」


Aを連れて帰ってきたハク。
ハクが座り込んで裾をめくり上げると、カナが声を上げた。


「姉様…!」

『ヨナ…』


ヨナが泣きそうに目を潤ませながらAに駆け寄るのを横目に水辺で布を濡らしてきたカナが、そこらへんにあった薬草を木の実とすり合わせて布に着けるとハクの足にそれを巻き付けた。


「―――っ」

「ちょっと我慢しなさい。毒蛇に噛まれたなら早急に血を吸い出した方がいいんだけど…」

「問題ねぇ」

「言うと思った」


呆れたようにため息をついたカナがキツく布を縛ってゆく。

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ムーミン一家 - 暁のヨナ、私も最近ファンになりました!面白いですよね〜ちなみに私はジェハ押しです。これからも頑張って下さい! (2018年7月21日 23時) (レス) id: 8c840e0186 (このIDを非表示/違反報告)
鈴木美妃(プロフ) - ファンになりました。早く続きが読みたいです。これからも更新楽しみにしてます。頑張って下さい。応援します。 (2018年7月7日 19時) (レス) id: 6d5e66c80d (このIDを非表示/違反報告)
ルイナ(プロフ) - 待ってました!更新これからも頑張ってください♪ (2018年7月6日 18時) (レス) id: 29bcf3ece3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さきっち | 作成日時:2018年7月6日 17時

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