51話 『マナー違反』 ページ4
貴方side
僕たちは迷宮区の中ほどに設けられた安全エリア目指して一心不乱に駆け抜けた。途中何度かモンスターにターゲットにされたような気がするけど、正直構っていられなかった。
安全エリアに指定されている広い部屋に飛び込み、並んで壁際にずるずるとへたり込む。大きく一息ついてお互いの顔を見合わせると、
アスナ,シュン,キリト「『……ぷっ』」
笑いがこみ上げてきた。冷静にマップなりで確認すれば、やはりあの巨大悪魔が部屋から出てこないのはすぐに判ったはずだが、どうしても立ち止まる気にはならなかったのだ。
アスナ「あはは、やー、逃げた逃げた!」
アスナは床にぺたりと座り込んで、愉快そうに笑った。
アスナ「こんなに一生懸命走ったのすっごい久しぶりだよ」
『まぁ、僕たちよりキリト君とシュンのほうが凄かったけどね!』
キリト,シュン「…………」
否定できないんだ。憮然とした二人の表情を眺めながらアスナとくすくす言い続けた僕は、ようやく笑いを収めると、
『……あれは苦労しそうだね……』
と表情を引き締めた。
キリト「そうだな。パッと見、武装は大型剣ひとつだけど特殊攻撃アリだろうな」
アスナ「前衛に硬い人を集めてどんどんスイッチして行くしかないね」
シュン「盾装備の奴が10人は欲しいよな……」
キリト「まあ、当面は少しずつちょっかい出して傾向と対策って奴を練るしかなさそうだ」
『盾装備、ねえ』
僕とアスナは意味ありげな視線でキリト君とシュンを見る。
キリト,シュン「な、なんだよ」
アスナ「君たち、なんか隠してるでしょ」
シュン「いきなり何を……」
アスナ「だっておかしいじゃない。普通、片手剣の最大メリットって盾持てることじゃない。でもシュン君とキリト君が盾持ってるとこ見たことない」
『僕の場合は二本使うから持てないし、アスナの場合は細剣のスピードが落ちるからだし、スタイル優先で持たないって人もいるけど、君たちの場合はどっちでもないよね』
アスナ「『……あやしいなぁ』」
いつも一緒にいるシュンが、隠し事をしているってことに驚きだ。昔から一緒にいるから何でも話してくれると思っていたけど。
二人がチラリとお互いを見て口を開こうとした時、
アスナ「まあ、いいわ」
『スキルの詮索はマナー違反だからね』
と笑った。アスナは視線をちらりと振って時計を確認し、目を丸くした。
アスナ「わ、もう3時だ」
僕も時計をちらりと確認する。
52話 『味覚再生エンジン』→←50話 『The Gleameyes』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 183人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さきっち
| 作成日時：2018年3月5日 0時
