74話 『新しい団服』 ページ27
キリトside
シュン「な……なんじゃこりゃあ!?」
アスナ「何って、見たとおりよ。さ、早く立って!」
アスナが強引に着せ掛けたのは、俺たちの新しい一張羅だった。慣れ親しんだボロコートと形は一緒だが、色は目が痛くなるような純白。両襟に小さく二個と、背中にひとつ巨大な真紅の十字模様が染め抜かれている。言うまでもなく血盟騎士団のユニフォームだ。
キリト「……じ、地味な奴って頼まなかったっけ……」
アスナ「これでも十分地味なほうよ。うん、似合う似合う!」
リュウ「派手じゃね…？」
アスナ「派手じゃない。じゃ、わたしはランカとサクラを見てくるね」
アスナが部屋を出たのを確認すると俺は全身脱力して揺り椅子に倒れ込むように座った。シュンとリュウも疲れた顔で椅子に座った。例によってエギルの雑貨店の二階だ。すっかり俺たちが緊急避難的居候先として占拠してしまい、哀れな店主は一階に簡素なベッドを設えて寝ている。それでも、追い出されないのは、二日と空けずアスナがやってきて、ついでにランカとサクラと共に店の手伝いをしているからだ。宣伝効果は抜群だろう。
俺たちが椅子に座ってうめいていると、ドアの向こう側からはしゃぎ気味のアスナの声が聞こえてきた。
ガチャリと子気味のいい音を立てて開いたドアの向こう側にはアスナと上着は一緒だが下が白の短パンのサクラと、上着は一緒だがスカートが黒地に真紅の線が入っていて膝上まであるニーハイブーツのランカの姿。
『スカート短すぎないかい？』
アスナ「いいの!可愛んだから、文句なし!」
サクラ「そういう問題？」
『ってか、何で君は短パンなの』
サクラ「え、アスナに聞いてよ」
ランカもサクラもSAOで五本指に入ると言われている程の容貌を持っているだけはある。普段着ている着物とかアスナの家で見た私服とはまた違った感じの雰囲気で思わず顔を赤くして俺はランカを凝視した。
シュン「見惚れたか？キリト」
リュウ「顔真っ赤だぞ」
キリト「う、うるさい!」
にやにやと笑いながら俺をつついてくるシュンとリュウをあしらっていると、ランカが近づいてすっかりそこが定位置だとでも言うように俺が座っている肘掛の上に腰を下ろした。
アスナは何か思いついたように軽く両手を合わせた。
アスナ「あ、ちゃんと挨拶してなかったね。ギルドメンバーとしてこれから宜しくお願いします。ランカも補佐として宜しくね」
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作者名：さきっち
| 作成日時：2018年3月5日 0時
