7話 【Warning】【Ststem Annouuncement】 ページ9
貴方side
『僕のことはランカでいいよ』
サクラ「私もサクラでいいわ」
リュウ「俺もリュウでいいぜ。仲良くしような!」
そう言ってニカッと笑うリュウにキリトくんとクラインが頷くのを横目に僕はシュンをチラリと見た。そして視線に気づいたシュンが首を傾げる。
何故だろうか…このキリトと言う男…私の大切なーーーここ数年全く会えていなかった従姉妹に似ていると直感で感じた。
シュンもそう思っているかと思っていたがどうやら違うらしく溜息をつきそうになった時、誰かが叫んだ。
「あっ……上を見ろ!!」
僕たちは反射的に視線を上向けた。そして、そこに異様なものを見た。
百メートル上空、第二層の底を、深紅の市松模様が染め上げていく。
よくよく見れば、それは二つの英文が交互にパターン表示されたものだった。真っ赤なフォントでつづられた単語は【Warning】、そして【Ststem Annouuncement】と読める。
一瞬の驚愕に続いて僕は、ああ、ようやく運営のアナウンスがあるのか、と考え肩の力を抜きかけた。広場のざわめきが終息し、皆が耳をそばだてる気配が満ちる。
しかし、続いた現象は、僕の予想を大きく裏切るものだった。
空を埋め尽くす深紅のパターンの中央部分が、まるで巨大な血液の雫のようにどろりと垂れ下がった。高い粘度を感じさせる動きでゆっくりとしたたり、だが落下することなく、赤い一滴は突如空間でその形を変えた。
出現したのは、身長二十メートルはあろうかという、深紅のフード付きローブをまとった巨大な人の姿だった。
いや、正確には違う。僕たちは地面から見上げているので、深く引き下げられたフードの中が見通せるのだがーーーそこに、顔がないのだ。まったくの空洞、フードの裏側や縁の縫い取りまでがはっきりと確認できる。だらりと下がる長い裾の中も、同じく薄暗い闇が広がるのみだ。
フードの下の空疎な間隙は、僕に言いようのない不安感を抱かせた。隣にいたサクラが不安そうに端麗な眉を顰めて僕の腕を握る。
周囲の無数のプレイヤーたちも同様だったのだろう。「あれ、GM?」「なんで顔ないの?」というささやきがそこかしこから沸き起こる。
リュウ「何だよ、あれ」
シュン「GMか…?」
シュンとリュウの呟きを遮るように、不意に巨大なローブの右袖が動いた。
ひらりと広げられた袖口から、純白の手袋が覗いた。しかし、袖と手袋もまた明確に切り離され、肉体はまるで見えない。
続いて左袖もゆると掲げられた。
343人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みさっと - アドバイスです。 もう少し書くのに間を開けてわどうですか? 内容は、凄く好きです! (2018年4月8日 17時) (レス) id: 0bc1c5e779 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さきっち | 作成日時:2018年2月18日 1時