47話 『軍の方針変更』 ページ50
キリトside
また、常に大人数のパーティーで行動し狩場を長時間独占してしまうこともあって、一般プレイヤーの間では《軍》には極力近づくな、という共通認識が生まれていた。もっとも、連中は主に五十層以下の低層フロアでの治安維持と勢力拡大を図っているため、最前線で見かけることはまれだったのだがーーー。
俺たちが息を潜めて見守る中、十二人の重武装戦士は、鎧の触れ合う金属音と重そうなブーツの足音を響かせながら整然とした行進で眼下の道を通過し、深い森の木々の中に消えていった。
現在SAOの囚人となっている数千人のプレイヤーは、発売日にソフトを入手できたことだけを見ても筋金入りのゲームマニアだと思っていい。そしてゲームマニアというのは間違いなく《規律》という言葉からは最も縁遠い人種だ。二年が経過すると言え、あそこまで統制の取れた動きをするというのは尋常ではない。おそらく《軍》の中でも最精鋭の部隊なのだろう。
マップで連中が索敵範囲外に去ったことを確認すると、俺たちはしゃがみ込んだまま、ふうと息を吐き出した。
アスナ「……あの噂、本当だったんだ……」
シュンのコートにくるまったまま、アスナが小声で呟いた。
シュン「噂?」
『ああ……軍が方針を変えたってやつ?』
アスナ「うん。ランカには話した事あるよね。ギルドの例会で聞いたんだけど、《軍》が方針変更して上層エリアに出て来るらしいって。もともとはあそこもクリアを目指す集団だったのよね。でも二十五層攻略の時大きな被害が出てから、クリアよりも組織強化って感じになって、前線に来なくなったじゃない。それで、最近内部に不満が出てるらしいの。−−−で、前みたいに大人数で迷宮に入って混乱するよりも、少数精鋭部隊を送って、その戦果でクリアの意思を示すっていう方針になったみたい。その第一陣がそろそろ現れるだろうって報告だった」
シュン「実質プロパガンダなのか」
『でも、だからっていきなり未踏破層に来て大丈夫なのかな……?』
キリト「レベルはそこそこありそうだったけどな……」
アスナ「ひょっとしたら……ボスモンスター攻略を狙ってるのかも……」
各層の迷宮区には、上層へと繋がる階段を守護するボスモンスターが必ず存在する。一度しか出現せず、恐ろしいほどの強さを誇るが、確かに倒した時の話題性は抜群だ。さぞかしいい宣伝になることだろう。
シュン「それであの人数か……。でもいくらなんでも無茶だろ」
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みさっと - アドバイスです。 もう少し書くのに間を開けてわどうですか? 内容は、凄く好きです! (2018年4月8日 17時) (レス) id: 0bc1c5e779 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2018年2月18日 1時