44話 『前衛よろしく』 ページ47
貴方side
アスナ「ええ。いまのギルドの空気は、ゲーム攻略だけを最優先に考えてメンバーに規律を押し付けたわたしにも責任があると思うし……」
するとアスナの後ろにいたシュンが口を開いた。
シュン「それは……仕方ないって言うか、逆にあんたみたいな人がいなかったら攻略ももっとずっと遅れてたよ」
キリト「シュンの言うことも最もだ……と思う。ソロでだらだらやってる俺たちに言えたことじゃないけど……」
『だから、君もたまには、僕たちみたいなイイカゲンなのとパーティー組んで息抜きするくらいしたって、誰にも文句言われる筋合いじゃない……と思うよ』
するとアスナは、ぽかんとした顔で何度か瞬きを繰り返してから、やがて半分苦笑ではあったが張り詰めていた頬を緩めた。
アスナ「……まあ、ありがとうと言っておくわ。じゃあ、お言葉に甘えて今日は楽させてもらうわね。ランカは私と一緒に後衛しましょう。
僕の手を引っ張って勢いよく振り向き、街の外に続く道をすたすた歩き出す。
キリト,シュン「ちょっとまて、前衛は普通交代だろう!」
文句を言いながらも、キリト君とシュンは、ほっとしたような顔で僕たちの後を追いかけてきた。
ーーーーーーー
迷宮区へと続く森の小路は、ほのぼのとした空気に包まれていた。梢の隙間から差し込む朝の光が金色の柱をいくつも作り出し、その隙間を綺麗な蝶がひらひらと舞う。残念ながら実体のないビジュアル・エフェクトなので、追いかけても捕まえることはできないが。
柔らかく繁った下草を、さくさくと小気味良い音を立てて踏みしめながら、アスナがからかうように言った。
アスナ「それにしても君たち、いつも同じ格好だねえ」
振り返ると、キリト君とシュンがう、と言葉に詰まっていた。キリト君の方は古ぼけた黒のレザーコートに、同色のシャツとパンツ。金属防具はほとんどない。シュンの方は白色のロングコートに、青色のシャツとパンツ。こちらも金属防具はほとんどない。
キリト「い、いいんだよ。だいたいランカだって…」
『残念でした。柄が違う和服を着まわしてます〜』
キリト「わかるか」
鋭い突っ込みだった。
アスナ「2人ともその服は、何か合理的な理由があるの?それともキャラ作り?」
『キャラ作りだよね』
シュン,キリト「ランカ!!」
『冗談だよ』
シュン「てか、そんなこと言ったらお前だって毎度そのおめでたい紅白……」
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みさっと - アドバイスです。 もう少し書くのに間を開けてわどうですか? 内容は、凄く好きです! (2018年4月8日 17時) (レス) id: 0bc1c5e779 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2018年2月18日 1時