40話 『初撃決着モード』 ページ43
貴方side
アスナを摑んだクラディールの右手首を握り、街区圏内で
『悪いけど君の好きな副団長様は、今日は僕たちの貸し切りなんだ』
我ながら呆れる台詞だが、もう後には引けない。今まで敢えて僕たちの存在を無視していたクラディールは、顔をゆがめて手を振り解くと、
クラディール「貴様ァ……!」
軋むような声で唸った。その表情には、システムによる誇張を差し引いても、どこか常軌を逸した何かを感じさせるものがある。
シュンが僕たちに歩み寄ってアスナと僕を庇うように前に立って言う。
シュン「アスナの安全は俺たちが責任を持つぜ。別に今日ボス戦をやろうって訳じゃないんだ。本部にはあんた一人で行ってくれ」
クラディール「ふ……ふざけるな!!貴様らのような雑魚プレイヤーにアスナ様の護衛が務まるかぁ!!わ……私は栄光ある血盟騎士団の……」
キリト「あんたよりはマトモに務まるよ」
キリト君のこの一言が余計だった。
クラディール「ガキどもがぁ……そ、そこまででかい口を叩くからには、それを証明する覚悟があるんだろうな……」
がん蒼白になったクラディールは、震える右手でウインドウを呼び出すと素早く操作した。即座に、僕の視界に半透明のシステムメッセージが出現する。内容は見る前から想像がついた。
【クラディール から1vs1デュエルを申し込まれました。受諾しますか?】
無表情に発行する文字の下に、Yes/Noのボタンといくつかのオプション。僕はちらりと隣のアスナに視線を向けた。彼女にはこのメッセージは見えていないが、状況は察しているだろう。そして側にいるキリト君とシュンも。当然止めると僕は思ったのだが、驚いたことにアスナは硬い表情で小さく頷いた。
『……いいの?ギルドで問題にならないのかい……?』
小声で聞いた僕に、同じく小さいがきっぱりとした口調で答える。
アスナ「大丈夫。団長にはわたしから報告する」
僕は頷き返すとYesボタンに触れ、オプションの中から《初撃決着モード》を選択した。これは、最初に強攻撃をヒットさせるか、あるいは相手のHPを半減させたほうが勝利するという条件だ。メッセージは【クラディールとの1vs1デュエルを受諾しました】と変化し、その下で六十秒のカウントダウンが開始される。にしても一番ひどい事を言ったのはキリト君なのに何で僕?僕が参謀をやった事があるって知ってるよね。
343人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みさっと - アドバイスです。 もう少し書くのに間を開けてわどうですか? 内容は、凄く好きです! (2018年4月8日 17時) (レス) id: 0bc1c5e779 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さきっち | 作成日時:2018年2月18日 1時