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27話 『完全取得』 ページ30

貴方side


シュンの、呆れ半分の視線を受けたアスナは、両手を腰に当てるとつんと顎を反らせるような仕草で言った。


アスナ「生きてるならいいのよ。そ……そんなことより、何よシェフどうこうって?」

シュン「そうそう。お前いま、料理スキルの熟練度ってどのくらい?」


そういえばアスナは、僕と同じことをしたいと言って酔狂にも、戦闘スキル修行の合い間を縫って職人系の料理スキルを上げていた気がする。シュンの問いに、彼女は不敵な笑みを滲ませると答えた。


アスナ「聞いて驚きなさい、先週に《完全取得》したわ」

シュン,キリト「なぬっ!」

『アホか』

シュン,キリト「お前が言うな」


二人に突っ込まれて僕は、すいませーん、と軽く頭を下げた。
熟練度は、スキルを使用する度に気が遠くなるほどの遅々とした速度で上昇してゆき、最終的に熟練度1000に達したところで完全取得となる。ちなみに経験値によって上昇するレベルはそれとはまた別で、レベルアップで上昇するのはHPと筋力、敏捷力のステータス、それに《スキルスロット》という取得可能スキル限度数だけだ。


シュン「……その腕を見込んで頼みがある」


シュンは手招きをすると、アイテムウインドウを他人に見える可視モードにして示した。いぶかしげに覗き込んだアスナと僕とキリト君は、表示されているアイテム名を一瞥して眼を丸くした。


アスナ「うわっ!!こ……これ、S級食材!?」

キリト「お前…持ってたのかよ」

『だからさっき何か考え込んでたんだ』


シュンは僕のその問いにこくりと頷く。


シュン「取引だ。ランカと一緒にこいつを料理してくれたら一口食わせてやる」


キリト君と一緒の事を言うね、お前は。

すると言い終わらないうちに《閃光》アスナの右手がシュンの胸倉をがっしと摑んだ。そのまま顔を数センチの距離までぐいと寄せると、


アスナ「は・ん・ぶ・ん!!」

シュン「は!?」


思わず不意打ちにドギマギしたシュンだが、アスナのその言葉に有り得ないという顔を浮かべ僕とキリト君を振り返った。てゆうか、僕とキリト君の距離もあんなに近かったのか。


『半分くらいいいじゃん』

キリト「俺も半分ランカにやるんだぞ」

アスナ「料理してあげるんだからそれくらい当たり前でしょ。ね、ランカ〜」

シュン「…っ、分かったよ!!」


悔し気に頷いたシュンにアスナがやったと左手を握って僕に抱き着いて来た。

28話 『部屋を提供してあげる』→←26話 『いつまで抱き着いてるんだ』



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みさっと - アドバイスです。 もう少し書くのに間を開けてわどうですか? 内容は、凄く好きです! (2018年4月8日 17時) (レス) id: 0bc1c5e779 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さきっち | 作成日時:2018年2月18日 1時

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