【SAO】桜の舞姫 -アインクラッド編- (ページ19)

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17話　『絶対、大丈夫だよ』ページ19

シュンside

シュン「システムが供給する限られた金とアイテムと経験値を、より多く獲得した奴だけが強くなれる。……この《はじまりの街》周辺のフィールドは、同じことを考える連中に狩りつくされて、すぐに枯渇するだろう。モンスターの再湧出(リポップ)をひたすら探し回るはめになる。今のうちに次の村を拠点にしたほうがいい。俺は、道も危険なポイントも全部知ってるから、レベル１でも安全に辿り着ける」

随分と長ったらしい台詞を、三人は身動きひとつせずに聞き終えた。
そして一番に口を開いたのは俺との付き合いが一番長いランカだった。

『それが一番いいと思う。徐に行くよりシュンみたいな人と一緒に行った方が安全性は高い』

その言葉に頷いたのはリュウだ。

リュウ「確かにな。それに俺たちならいけると思う」

そして俺たちの視線が今だにランカに縋りついているサクラへ向く。それを受け止めたサクラは震える体をランカから離し、精一杯の強がりの表情でこくりと頷いた。泣きそうに揺らぐその黒の瞳は揺ぎ無い覚悟が灯っていた。

サクラ「４人でなら無敵……よね？」

幼い頃に遊び半分で四人で約束した。俺たちが揃えば敵わない敵はいない。その言葉が今になって使われるとは思っていなかったが、俺たちはサクラに向かって力強く頷いた。それに安堵の笑みを浮かべた彼女の隣で、ランカが口を開いた。

『じゃあ…』

その言葉に俺たちは拳を突き合わせる。コツン…と小さく音を立てて合わさった拳が俺たちの誓いの印。

シュン「絶対に4人でここから出ようぜ」

リュウ「こんなとこで負けてらんねぇしな!」

サクラ「私たちが揃えば完全無欠なんだから!」

そして最後を締め括るランカが俺たちの顔を見回してニィッと口角を吊り上げた。

『必ず4人揃ってここから出る!!』

力強いその言葉に俺たちは思わず口角を吊り上げた。昔からランカの言葉には強さがあった。その強さが、俺たちの背中を押す。

お互いに微笑み合い拳を下ろした俺たちにランカはふわりと笑いかけた。

『絶対、大丈夫だよ』

よく使う魔法の言葉。俺たちはその言葉とランカの笑みに何度救われたか分からない。けど、こいつが言ったなら必ず大丈夫。

そんな事を考えて笑みを溢した俺はもうすっかり怖さを失くした三人に背を向けた。

シュン「行くか!」

俺の隣に並んだランカ。そして後ろに並んだ二人。それを確認して俺は歩き出した。