14話 『従姉妹』 ページ16
シュンside
四人の声も、ボイスエフェクトが停止したらしくトーンが変化していたが、そんなこと気にする余裕はなかった。
俺たちの手から鏡が零れ落ち、地面に落ちて、ささやかな破砕音とともに消滅した。
改めてぐるっと周囲を見回すと、存在したのは、数秒前までのいかにもファンタジーゲームのキャラクターめいた美男美女の群れではなかった。例えば現実のゲームショウの会場から、ひしめく脚をかき集めてきて鎧兜を着せればこういうものができるのであろう、というリアルな若者たちの集団がそこにあった。恐ろしいことに、男女比すら大きく変化している。
クライン「てことは、おめぇらがシュンにランカにサクラにリュウってことか…?」
その声に俺たちは一斉に振り返った。そこにはぎょろりとした金壺眼に長い鷲鼻。そして頬と顎には、むさ苦しい無精ひげが浮いている、つんつんと逆立った赤い髪の男。
そして大人しいスタイルの黒い髪。眺めの前髪の下の、柔弱そうな両眼。そして女の子のような線の細い顔ーーーその顔に見覚えがあった俺とランカは目を見開いた。
サクラ「そうよ。てことは貴方たちがクラインとキリトね?」
リュウ「全然違ぇのな」
クライン「それはおめぇもだろリュウ」
そんな三人の会話も耳に入らない程俺とキリトと思わしき人とランカは見つめ合っていた。先に動いたのはーーーキリトだ。
キリト「もしかして……Aに瞬斗…か?」
シュン「ってことは、お前は…」
『和人…くん?』
ランカの弱々しいその声にキリトは柔らかく微笑んだ。その笑みにランカは嬉しそうに翡翠の瞳を輝かせて口許に手を当てた。
キリトーーー桐ヶ谷和人は一ノ瀬Aの従姉妹で、俺の親友だ。
小さい頃からAの家に遊びに行っていた俺はそこで和人と出会い、仲良くなった。お互いに気を許せる存在。龍馬や華奈よりも前に出会った俺たち三人。けど、俺たちが中学に上がってからは全くといっていい程会わなくなった。
特にAと和人は連絡すらも取っていない。俺としては完璧この二人は両想いってわかってるんだけど、二人とも変なとこで奥手だから中々進展もせず。そのまま離ればなれになった二人は連絡を取りづらくなり、今、久しぶりに再会を果たしたという訳だ。
俺はちょくちょく連絡取り合ってたけど。俺と和人はゲーマーだし。
ちょっといい雰囲気の二人を見守っているとふと疑問が頭に浮かんだ。
343人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みさっと - アドバイスです。 もう少し書くのに間を開けてわどうですか? 内容は、凄く好きです! (2018年4月8日 17時) (レス) id: 0bc1c5e779 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さきっち | 作成日時:2018年2月18日 1時