第十三幕 新月の夜に ページ10
ドクンドクンと私を抱きかかえるリクオの胸が大きく音を立てる。ゴオオオオと凄まじい風が私達の間を通り抜けて、金色の私の髪の毛と着物を揺らした。
静かに睨み合う二人。そんな中私はリクオの腕の中で声を上げた。
『リクオ…下がってて。私が、やらなきゃ…』
グッと体全体に力を入れるが斬られた横腹が痛む。
「バカ言うな。お前…大ケガしてるぞ」
『でも、私が売られたケンカよ!?』
ザッと立ち上がろうとすると横腹がズキッと痛んで立ってられなくなりガクッと膝をついた。そんな私をリクオが支えてくれる。
だがそれを見ていた男は氷麗の時と同様にハハハと笑う。
「ざまぁねぇな。言葉一つで動揺するような姫に守られる妖怪の総大将なんてよ…そんな奴、不必要だと…思わんか？」
ピクッとその言葉に体が震えた。
“不必要”…そんな言葉がぐるぐると頭の中を巡っているとリクオが私の肩を掴んでいる手にぐっと力を込めた。さらに近くなる距離。
リクオは私に聞こえる声で囁いた。
「何者だ…あいつ。やっぱり牛鬼の手下なのか…」
『わからないわ…。私は身内だと思って少し気を抜いてしまったの…。でもあいつ、リクオを本気で殺しに来てる!……私もね』
そうつぶやくと私はグッと足に力を込めて立ち上がった。そんな私をリクオは止めた。
「だめだ…A、立つな」
『でも…でもリクオは!!人間なのよ!!リクオが傷ついたら、私…』
不意に私の頭がグンッと抑えられた。『わっ』っと声を上げるとリクオは私の頭を掴んだまま激昂を浮かべる瞳で鋭く前を睨みつけて口を開いた。
見上げる私とリクオとの距離はすごく近い。
「いーから、心配しなくていい」
「まってろ」と残して歩き出すリクオの後ろ姿を目を見開いたまま見送る。
真近で見たリクオの横顔はどことなく夜のリクオと重なって見えたのは気のせいだろうか。いや、違う。だって、いつものリクオとは雰囲気もしゃべり方も違うもん。
「死ね、奴良リクオ」
そう溢した男は地を蹴ってリクオに襲い掛かって来た。
『リクオぉ!!』
焦って声を上げる私。男は笑みを浮かべながらくるくるとその手の中で刀を回すとリクオに振り下ろした。
ギィィィィィンとリクオの祢々切丸と男の刀が交じり合う。刀を交えたまま男が体重をかけるとお互いの刃からギリギリと音が聞こえた。だが、リクオは圧されることなくそれを正面から受け止めている。
思わず私は目を見開いた。
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さきっち(プロフ) - 美桜さん» いえいえ！ (2019年11月27日 16時) (
レス) id: f5cfe9f7a0 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - さきっちさん» 分かりました！ありがとうございます！ (2019年11月27日 16時) (レス) id: bc13b73ee8 (このIDを非表示/違反報告)
さきっち(プロフ) - ごめんなさい……。私もここの場面は前に書いたものなのでどうやって出したのか覚えていなくて。いろんな読み方を入力してパソコンで出たのは覚えているんですが…。力になれなくてすみません！ (2019年11月27日 16時) (レス) id: f5cfe9f7a0 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - でないです……。 (2019年11月27日 16時) (レス) id: bc13b73ee8 (このIDを非表示/違反報告)
さきっち(プロフ) - 美桜さん» どれかを入れれば出るはずですけど……ダメでしたか？読み方はたくさんあるので… (2019年11月27日 16時) (レス) id: f5cfe9f7a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さきっち
| 作成日時：2017年11月1日 22時
