第十三幕 三話 ページ12
祢々切丸を構えたリクオがそのまま前に体を倒して牛頭丸を真正面から背後の爪を真っ二つに斬り捨てるようにその肉体を引き裂いたのだ。
私はリクオの行動に目を見開いたままその場で立ち止まってしまった。
今まであんなに圧されていたはずのリクオが一瞬で牛頭丸の肉体を斬り裂いてしまったのだ。
牛頭丸の後ろにリクオが着地すると牛頭丸は信じれないという風に口を開いた。
「なぜだ……妖怪でもねぇ…てめぇに……」
ズリズリと牛頭丸の背後の爪の肉体が地面に少しずつ落ちていく。ぼろぼろに崩れていくその肉体はついには大きなひと塊となって地面へと落ちた。
どしゃぁぁぁという音と共に地煙が上がる。
その間から見えたリクオは完全に夜の姿となっていた。祢々切丸を軽く構えたままの彼はどこか遠くを見つめながら、背後にある肉体に目もくれず呟いた。
「血なら流れてる。悪の…総大将の血がな……」
やっと終わった戦いに無意識に張っていた緊張の糸が解けたのか地面に倒れそうになるのをリクオが受け止めてくれた。
「もう、大丈夫だ」
私は力なく顔を持ち上げて私の顔をのぞきこんでいるリクオを見つめる。その瞳はどこか悲しげだった。
「知ってたよ。自分のこと…」
覚悟を決めた様な悲し気なリクオの顔が私の瞳に焼き付いた。
「夜、こんな姿になっちまうんだな」
『リクオ…』
ゴォォォォと冷たい風だけが私達の隙間を抜けていった。
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簡単に私の手当てをした後リクオは牛鬼の元へと向かって行った。
＿＿「あんまり無茶すんなよ」
その言葉と共に額に送られた唇の感触を思い出して一人赤面する私は今、氷麗を横抱きに抱えて捩眼山の階段を下りていた。
カツカツと私の膝上のブーツの音が夜の階段に響く。すると下の方からカナが上がってくるのが見えた。多分、探しに来たんだろうな。
直感的にそう感じた私はこちらを見て立ち止まったままのカナに近寄って氷麗を渡した。
「え？は!?」
戸惑いながらも氷麗を受け取ったカナは少し頬を赤らめながら私を見上げた。
「あ、あの…」
そんな彼女に微笑みかけるとボンッと真っ赤になる顔。それを見てゆるりと口許を持ち上げると階段を登り始める。
「え、ちょ!」
慌てたようなカナの声に私は階段を登るのを止めて振り返りざまにニヤリと不適な笑みを浮かべた。
『行くとこがあるの。カナ、その娘を…たのむわね』
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さきっち(プロフ) - 美桜さん» いえいえ！ (2019年11月27日 16時) (
レス) id: f5cfe9f7a0 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - さきっちさん» 分かりました！ありがとうございます！ (2019年11月27日 16時) (レス) id: bc13b73ee8 (このIDを非表示/違反報告)
さきっち(プロフ) - ごめんなさい……。私もここの場面は前に書いたものなのでどうやって出したのか覚えていなくて。いろんな読み方を入力してパソコンで出たのは覚えているんですが…。力になれなくてすみません！ (2019年11月27日 16時) (レス) id: f5cfe9f7a0 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - でないです……。 (2019年11月27日 16時) (レス) id: bc13b73ee8 (このIDを非表示/違反報告)
さきっち(プロフ) - 美桜さん» どれかを入れれば出るはずですけど……ダメでしたか？読み方はたくさんあるので… (2019年11月27日 16時) (レス) id: f5cfe9f7a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さきっち
| 作成日時：2017年11月1日 22時
