55話 ページ5
コナン「中岡さんっ。あんたは間違ってる!!」
コナンはそう言うと、額から頬に伝う血をリストバンドで拭った。
中岡の目にはその動きが、リストバンドで汗を拭う知史とだぶって見えた。
知史『ほんとなんだよ……お兄ちゃん……』
知史の声まで聞こえてきて、中岡は思わず「知史……」とつぶやいた。
が、すぐにハッと我に返って後ずさりした。
中岡「なっ……なぜ、おまえがそのリストバンドを……」
コナンが「え?」とリストバンドを見る。
中岡「それは……オレが知史にやった……いや違う!そんなはずねえ」
立ち止まった中岡はギュっと目をつぶり、頭を左右に強く振った。
目を開けると、キョトンと中岡を見つめるコナンの姿がまた知史に見えてきた。
知史が悲しそうに中岡を見つめる。
知史『誰も悪くないんだよ。だからもうやめて……お兄ちゃん!』
知史の声が耳に響いて、中岡は目を見開いた。
中岡「そ……そんな……オレが間違っているとでも言うのか!?知史……」
中岡は後ずさりながら苦しそうに頭を抱え、左右に強く振った。
中岡「……オレは敵をとっておまえのところへ行きたかっただけなんだ。なのにどうして、知史……おまえまでオレを否定するんだ……!」
悲痛な声を上げた中岡は膝をつき、泣き始めた。
コナン「中岡さん……」
コナンが泣き崩れる中岡の姿を悲しげに見つめると、中岡がふいに顔を上げ、コナンに手を伸ばした。
中岡「もう時間がない……知史……逃げろ……」
次の瞬間、観客席から爆音が轟いた。
最上階から次々と爆発が起き、フェンスやシートをなぎ倒していく。
鉄骨の支柱からも次々と火が吹き、轟音を立てて崩れた。
グラウンドにも爆風が押し寄せ、コナンは足を踏ん張らせて耐えると、前方に立つホーム側のゴールをにらみつけた。
コナン「クソォーーー!」
コナンは叫ぶと同時にゴールに向かって駆け出した。
中岡「よせっ!」
中岡が立ち上がる。
しかしコナンは無視して鉄骨の上に飛び乗り、大きくジャンプして腰につけたボール射出ベルトのボタンを押した。
コナン「冗談じゃねえ!諦めてたまるか!!」
ベルトからボールが飛び出して芝生の上でバウンドすると、着地したコナンはすばやくキック力増強シューズのスイッチを入れた。
ボールを追いかけて中岡の前を走り抜ける。
中岡「無理だ!子どもの力じゃ……!」
コナン「止める!爆弾はオレが絶対止めてやる!!」
頭の中に愛梨の顔が浮かんだ。
(こんなとこで……死んでたまるかよ!!)
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美紀 - コナン大好きです最高ですコナンと新一大好きです (2019年4月18日 15時) (レス) id: a31ea93868 (このIDを非表示/違反報告)
R - R好みで好きです! (2018年10月13日 16時) (レス) id: b2f8c859e0 (このIDを非表示/違反報告)
R - 貴大くんとの絡みがもっと見たいです (2018年10月13日 16時) (レス) id: b2f8c859e0 (このIDを非表示/違反報告)
影月(プロフ) - 説明欄の文字が黄色で見にくいので変えていただけませんか? (2017年12月24日 17時) (レス) id: f3ad1d08de (このIDを非表示/違反報告)
わー(プロフ) - 14番目のターゲット大好きです!楽しみにしてます☆ (2017年12月23日 15時) (レス) id: 8cf7868275 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2017年6月24日 1時