250話 過る記憶 ページ10
「へー4年前のドラマかあ」
『私、見たことないや…』
「私はお母さんが好きだったからよく見てたなー」
爽歌とAがソファに座り、その横にカイリが立つ。
Aと爽歌は興味深そうにテレビを見た。
だが、
ーーどんなドラマなんだろ＿＿…。
「〈ねえヒロト。
聞いてくれる？〉」
テレビから流れてきた声に目を見開いた。
周りの音や物が全て遮断されて二人だけの空間になったみたいだ。
「〈生まれ変わっても私、もう一度あなたに恋をする〉」
爽歌の頭の中に、屋上で二つ結びの女の子と赤い髪の男の子が出会っている場面が浮かんだ。
そしてその隣では、Aの脳裏に、私服姿の女の子と赤い髪の男の子がどこかの教室で見つめ合っている場面が脳裏を霞めた。
そのとたん、頭がズキと痛んだ。
ズキンズキンと痛む頭を押さえながら二人は首をかしげる。
ーー何…？
今の…。
頭の奥を思い切り殴られたみたい。
私、このドラマのセリフ、知ってる…？
ソファから立ち上がったままじっとテレビを見ているAと爽歌にカイリが心配そうに声をかける。
「A？爽歌？」
「サキ？サヤカちゃん？
大丈夫？顔色悪いけど」
「少し休んで…」
『「───、───」』
ブツブツと何かをつぶやく二人に、カイリが心配そうに声をかけるが、二人は頭を押さえたまま信じられないという風に目を見開き、口を開きつづけた。
『「……失った時間は戻ら…ない。
…だけど、許されるなら、もう一度あなたと生きて…いきたい…」』
二人がそうつぶやいた後、テレビからドラマのセリフが流れてきた。
「〈失った時間は戻らない。
だけど許されるなら、もう一度あなたと生きていきたい〉」
Aと爽歌の目が見開かれるのと同時にカイリの目も見開かれた。
するとAと爽歌は頭を押さえながら同時に床に座り込んだ。
「サヤカ！？」
「サキ！！」
「サヤカちゃん、サキちゃん！！」
森川と高木と山本の声で我に返ったカイリは急いで二人に駆け寄り、肩に手を置き顔をのぞきこむ。
森川たちも二人に駆け寄りカイリの後ろから顔をのぞきこむと爽歌とAは片手で口元を押さえ、もう片方で頭を押さえてうずくまっていた。
「どうしたの、二人とも。
気持ち悪いの！？」
「しっかりして！！」
「大丈夫！？」
「A！！爽歌！！A！！」
四人が必死に声をかけるが、二人は口元と頭を押さえたまま動かない。
二人の頭をガンガンと叩くような痛みが襲う。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 47人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
星花 Ruru(プロフ) - 一番最初から見てみたんですけどとても面白いです！！これからも頑張ってください！応援してます！！(っ*’ω`) (2017年3月29日 21時) (
レス) id: 68eb365810 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さきっち
| 作成日時：2017年3月26日 23時
