好きです鈴木くん!! ～もう一つの恋物語～ Six (ページ9)

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249話　それぞれの思いページ9

「今日はとりあえず休んだほうがいい」

「そうだよ、A。
念のため、病院で検査も受けて…」

『大丈夫だって！』

巧とカイリが声をかけるが、Aは大丈夫だと言い張り、握りこぶしをつくり元気だと見せつける。
そしてニッコリと可愛らしく笑った。

『1日、無駄にしちゃった分がんばらないと！
今すぐにでも仕事したいんだ！！
すぐにでも………』

ぽろ…とAの目から涙が一筋こぼれて、三人は目を見開いた。
涙を流している本人でさえ、驚いたように目を見開き、『あはは』と笑うと手の甲で涙を拭う。

『あれ、やだな。
どーしたんだろ、急に。
無事帰ってこれてホッとしたのかな』

拭っても拭っても出てくる涙にAは唇をかむと、手の甲を口元にあて、三人から顔をそらした。
その姿をカイリと爽歌は辛そうに見つめる。

『変、なの…』

ーーごめんなさい。
ごめんなさい、鈴木輝＿＿。

＿＿こうして、波乱に満ちた合宿は終わり。

バスに翔と二人、隣同士で座った輝は、窓から見える砂浜を翔と二人で見る。
そこには撮影をしている爽歌とAたちの姿があった。
その姿を見つめながら翔が口を開く。

「星野とA。
まだ撮影続いてるのか。
当分、まだ会えなくなるな…」

そうつぶやく翔。
輝の頭の中に、洞窟で過ごしたことがよみがえる。

ーー昨夜のことが、まるで夢みたいに遠く感じる。

撮影場所から遠ざかる中、輝はじっとAを見つめた。

「次、オマエに会えるのはいつになるんだろうな…」

砂浜から遠ざっていくバスをAと爽歌が切なげな表情で見送っていた。

ーーオレたちは知らなかった。
この数日後、Aと星野の身に起こる、大きな異変に＿＿＿…。

「サヤカ、サキ、カイリ。
帰りの準備はできた？」

カイリも無事に雑誌の撮影が終わり、キャリーケースを持ちながら三人で話していると、カードキーを持った高木と森川、そしてカイリのマネージャーの山本が笑顔で歩み寄ってきた。

「とんでもないハプニングがあったけど、なんとか無事に撮影終了してよかったわね」

「ホテルのチェックアウトしてくるから、あっちのロビーで待ってて」

頷いた三人はロビーまでキャリーをひいていく。
すると、ロビーにあるテレビには昔のドラマが流れていて周りにいた女性たちが懐かしそうに指差した。

「わー、なつかしい。
これ、「愛空」の再放送じゃない？」

「学生のころめっちゃハマってたんだよねー。
もう4年くらい前かー」