好きです鈴木くん!! ～もう一つの恋物語～ Six (ページ38)

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270話　オレの女になる覚悟ページ38

輝の言葉にぐ…と言葉を詰まらせながらもAは『そ…そうよ』と答える。

「じゃあ、オレが有名になればオマエはオレとつきあうんだな」

『ええ、そう…って、え？』

「言ったな！？
いま、つきあうって言ったな！？」

『ちょ…今のはつい…』

慌てるAを尻目に輝は「決めた！！」と叫ぶと地面に片膝をつき、片手を地面につけた。

「オレはバスケで有名人になる！！
次の大会、全国で1番の選手になってやる！！」

輝の言葉にAは目を見開いた。
そんなAに輝はニイ…と笑う。

「賭けをしようぜ「サキ」
今度の予選大会、オレは勝ち残って必ず全国大会に出る。
もし途中で負けたら、オレはスッパリおまえをあきらめる」

『！』

下を向いていた輝はキッと視線を上げてAを見上げると、

「だけど、オレが賭に勝ったらその時は───…」

グイッ

『！？』

思い切りAの腕を引っ張ると、顔を近づけた。
顔の近さと下から自分を見つめる輝にドキン…と胸を高鳴らせる。

ーーオマエがなんで嘘をつくのか理由はちっともわかんねえ。
けど、

「オレの女(もの)になる覚悟しとけよ！！」

オレはオマエの本当の恋心(きもち)を信じる。

自信満々に微笑んだ輝にAは頬を染めて目を見開いた。

その頃、開城高校、体育館のバスケットゴールのネットがザンと大きな音を立てて揺れた。
それを見ていたチームメイトが声をかける。

「ナイッシュー忍！！
どうした？この前とうってかわって調子いいじゃん」

「……当たりまえだ。
次の大会、絶対に負けられねえ理由ができたんだよ」

＿＿それぞれの恋を託して、
運命の賭が始まる。

ガン

《決まった！！
ゴール！！
星南高校準決勝第1試合突破！！

第2試合は開城高校が勝利！！

東京都予選大会決勝戦進出を決めたのは、開城高校と星南高校の2校です！！》

アナウンスが体育館内に響いた。

お墓参りに来ていた爽歌とAは隣合わせにある、星野家と黒瀬家の墓石の前で手を合わせていた。
そして先に目を開けた爽歌が話し出す。

「お父さんお母さんAちゃんのお母さんお父さん。
今週は忙しくてなかなか会いに来れなくてごめんなさい」

爽歌の声を聞き目を開けたAの頭に浮かぶのは輝の言葉。

───「オレが勝ったらその時は、オレの女(もの)になる覚悟しとけよ」

トクンと胸が小さく音をたてた。

『私…どうすればいいのかな…』