好きです鈴木くん!! ～もう一つの恋物語～ Six (ページ34)

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266話　うれしくない偶然ページ34

ドキドキと危機感で胸を高鳴らせていると、車から「おい君たち」と声を上げながら人が降りてきた。
その声に振り向くと、

「危ないだろう、気をつけろ。
急に飛び出してきて死にたいのか！？」

「「あ」」

「あ？」

車から降りてきた人物に目を見開いた。
その人物とは巧で、お互い苦い顔をして道のど真ん中で固まった。

ーーなんてうれしくない偶然！！

お互いそう心の中で叫んだ。
両者ともに今いちばん会いたくない人ランキングで1位なのだ。
先に視線をそらした巧は呆れたように腕を組んでため息をついた。

「まったく。
君たちはなんでいつもオレの車の前に飛び出してくるんだ…」

「「……」」

言い返そうとするが、頭に浮かぶのは爽歌とAの言った言葉。

───「私、巧さんと婚約したの」

『爽歌と巧さんが婚約したの』

あの言葉を思い出した二人は一斉にバッと巧に頭を下げた。
不思議そうに巧が双子の頭を見つめる。

「な、なんだ？
いきなり…」

「巧さん、お願いがあります」

輝が頭を下げたまま口を開いた。
続いて翔も口を開く。

「星野(サヤカ)から聞きました。
巧さんと婚約したって」

「オレもサキ(A)からそう聞きました。
それと一緒にカイリとずっと一緒にいるって」

巧の目が見開かれた。

「「ぜったい、ぜったい、世界一、アイツを幸せにしてください…！！」」

ぶわーと一気に涙が溢れてきてぼろぼろ…と二人の目から零れ落ちる。
見開いた目でそれを見ていた巧は静かに双子に問いかけた。

「2人がそう言ったのか？
オレと婚約したって。
カイリとずっと一緒にいるって」

涙を拭いた双子が顔を上げる。
翔が涙を拭いながら答えた。

「キッパリフラれました。
オレじゃダメだって。
巧さんのほうが自分を幸せにしてくれるって」

また巧の目が見開かれる。
輝は涙を流しながら頭を下げて口を開けた。

「すげー悔しいけど、こんなことほかの男(ヤツ)に頼みたくなんかねーけど、でもやっぱアイツ(A)のこと好きだから…！！」

「誰と結婚しても一生好きな気持ちは変わんねーから…！！」

「「だから…っぜったいにアイツを泣かすよーなことは…っ」」

言葉につまりながら言う。
ずびびっと鼻水を啜るので後半は何を言っているかわからない。
巧はそんな双子をじっと見つめていたが、ふとあの時の二人の言葉が頭に浮かんだ。

───「鈴木くんの元には戻りません」

「『一生彼だけを想って2人で生きていきます』」