好きです鈴木くん!! ～もう一つの恋物語～ Six (ページ23)

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秘密の鈴木くん!!７ページ23

こうして、球技大会の優勝と共に、忍くんも元に戻ったのでした。

「…ったく。
なんだよ忍のヤツ」

Aとの帰り道。
輝はボロボロの姿で蹴られた跡を押さえた。
そしてイライラしながら口を開く。

「せっかく友達になれたと思ったのに。
すっかりなかったことにしやがって…」

小さく溜息をついた輝を横目で見たAは持っていたカバンをぎゅっと握りしめる。

ーー輝。
ちょっと寂しそう…。

『でもさー、私は忍が元に戻ってくれてホッとしたけどなぁ』

そう言うAを輝は振り返る。

『だって私、これ以上忍と輝が仲良くなったらきっとやきもちやくもん』

照れたように笑うAを輝は頬を染めながら見つめた。
そんな輝に気づいたAは慌てて訂正を入れる。

『あ、でも子供っぽいよね。
変なこと言ってごめん。
今の忘れて…』

「バカヤロー！！」

急に怒られたAはビクッと震えながらも『え、ご、ごめ…』と何が何だかわからず輝に謝ろうとするが、輝はガバッと彼女に抱き着いた。

「その可愛い愚痴、もっと聞かせろよ…！！」

嬉しそうに笑う輝にAも『輝…』と微笑み返すと輝の背に腕を回して抱きしめ返した。

「うわあ…っ。
急に空気がピンク色に…っ」

「なんか息苦しい…っ」

近くにいた生徒たちは青白い顔で倒れ込んだ。
これぞ必殺技その２
桃色空気(ピンクエアー)である。

こうして優勝した2年2組の面々は晴れて温泉旅行に行くことができたのでした。

風呂からあがってきた女子たちを見て男子たちは「おおッ」とざわついた。
そして嬉しそうに泣きながら拳を握りしめる。

「浴衣…っ。
風呂上がり女子…！！」

「オレ、生きててよかった…！！」

そんな男子たちを見て八王子は「フ…」と微笑む。

「女子の浴衣レベルでこんなに大騒ぎできるとは、まだまだ可愛いヤツらだぜ」

そんなやつらを放っといてちひろとAは卓球台の前に立つ。
爽歌は少し離れたところで様子を見ていた。

「温泉のあとはやっぱり卓球でしょ♪」

『輝、忍。
あんたたちもいっしょにやらない？』

そしてちひろ、忍。Aと輝で別れると、ボールを持ちながらちひろが口をひらく。

「輝とA。
私と忍チームでダブルスね。
負けたほうはジュースおごり！」

輝はちひろの声を聞きながらAを見つめる。
ちょうど、Aは風呂上りで髪の毛を上げていたのでおくれ毛とともにうなじが見えてドキン…と胸が音を立てて輝は頬を染めた。