46話 ページ46
怜子の歌声が流れる中、譜和は犯行を見破った二人を訝しげに見つめていた。
譜和「なぜ、私だとわかった？」
愛梨はステージに顔を向けたまま「絶対音感」と答えた。
愛梨「譜和さん、絶対音感持ってるのに、ゲネプロで音の違いを指摘しなかったじゃない。それでおかしいって気づいたんだ」
愛梨が譜和を見て微笑む。
譜和は軽く目を閉じて「なるほど……」とつぶやいた。
譜和「で、私が光の父親だというのは？」
コナン「譜和さんの車のナンバー『52-83』。あれ、息子さんの誕生日から取ったんでしょ？」
譜和が「え……」と思わず声を上げる。
二人は高木の手帳に書かれたメモを思い出した。
相馬光の生年月日は、『昭和52年8月3日』───譜和の車のナンバーと同じ数字だったのだ。
愛梨「世間に公表できない、愛する息子さんと自分を繋ぐ証として……それに、堂本さんの家にあった譜和さんの若い頃の写真、息子さんにそっくりだったよ」
エッフェル塔の前で堂本夫妻と一緒に写っていた三十代の譜和は、怜子の部屋で見かけた相馬光の写真とよく似ていた。
コナン「4人の音楽家を殺害したのは、事故で亡くなった息子さんの復讐。フルートのパーツを現場に置いたのは、警察に連続殺人は3件で終わりと見せかけるため。河辺奏子さんを巻き添えの形で重傷を負わせたのは、音の違いに気づく恐れがある絶対音感を持っていたからだ。絶対音感を持つ人を恐れるのは絶対音感を持つ人だけ。その点でも、犯人は譜和さんしかいないんだ。───そして、もう一人」
二人は再びステージで歌う怜子を見た。
譜和も目を向ける。
怜子が歌う『アメージング・グレイス』は、終盤にさしかかっていた。
愛梨「秋庭怜子さんも絶対音感を持っている。でも、亡くなった息子さんの婚約者だった彼女に対し、奏子さんにしたような命を落としかねない爆弾を使うわけにはいかない。だから、飲み物に刺激物を仕込んだり、ダンプやエアライフルで襲ったんだ。彼女をステージに立たせないためには、声を出せなくしたり、足を骨折させるだけでいいからね」
怜子の歌が終わり、堂本と紫音の後奏になった。
パイプオルガンとバイオリンの音色が徐々にゆっくりと小さくなって、ホール内に響き渡る。
無事終わった───怜子がそう思った瞬間、堂本が再びパイプオルガンを弾き出した。
(アドリブ……!?)
怜子が驚いて演奏台を振り返ると、堂本は高音から低音に向かって連打した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 287人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
AYANE(プロフ) - 質問なんですが？夢主ちゃんは、何歳ですか？ (2021年4月22日 21時) (
レス) id: 91263c781e (このIDを非表示/違反報告)
さきっち(プロフ) - Ms.分情 十雅さん» プレイリストに最初の話がありますからそこに設定が載っていますよ！ (2019年5月27日 16時) (レス) id: 8c299fa2e0 (このIDを非表示/違反報告)
Ms.分情 十雅 - 私はコナン大好きです。凄く面白かったです！ 夢主ちゃんの設定が分からないので教えて頂ければ幸いです。 (2019年5月27日 14時) (レス) id: 4167ffb2cd (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - コナン大好きです最高ですコナンと新一大好きです (2019年4月18日 15時) (レス) id: a31ea93868 (このIDを非表示/違反報告)
茉歩(プロフ) - 初めの黄色い文字が見づらいかもしれないです。すいません！でも、とても面白いと思います！更新頑張ってください^ ^ (2017年6月24日 8時) (レス) id: 9fa3df96cc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さきっち
| 作成日時：2017年1月8日 0時
