44話 ページ44
蘭がつぶやくと、園子が「『アメージング・グレイス』ね」と曲名を告げた。
怜子は歌いながら、ステージへ続く階段をゆっくりと下りはじめた。
ららがステージからにらみつけ、演奏を中止した紫音が堂本を見る。
堂本「今さら何を……!」
堂本は怜子に構わず、オリジナル曲の演奏を再開した。
そして、再び例の鍵盤を押す。
その瞬間、受信装置の二十三個目のボタンが点灯した。
残っていた最後の柱が爆破され、ホールの外側は火の海に包まれた───。
堂本が演奏を始めると、紫音もバイオリンを弾きはじめた。
ららも二人の演奏に合わせて再び歌い出す。
しかし、怜子とららの実力は明らかだった。
伴奏を味方につけても、ららの歌声は怜子のアカペラにかき消されてしまう。
奥深く豊潤で、そして人を惹きつける圧倒的な表現力を持つ怜子の歌声に、ららは次第に声が小さくなり、やがて歌えなくなってしまった。
すると、堂本がオリジナル曲の演奏から『アメージング・グレイス』の伴奏に切り替えた。
それに気づいた紫音も『アメージング・グレイス』の伴奏を弾きはじめる。
ステージの中央に歩み出た怜子は軽く目を閉じ、息を整えた。
スポットライトが怜子を照らす。
澄み切った柔らかな怜子の歌声が、パイプオルガンとバイオリンの音色と共に客席に響き渡った。
伴奏を続ける堂本の指は最下段の鍵盤に置かれていて、爆弾と連動している音のある最上段の鍵盤を押すことはなかった。
『アメージング・グレイス』では、爆弾と連動している音は使わないのだ。
天井裏に置かれた爆弾の受信装置の二十四個目のボタンは消えたままだった。
バルコニー席に座った蘭は、ステージで歌い続ける怜子をじっと見つめていた。
『アメージング・グレイス』の美しい旋律と怜子の澄み切った歌声に聴き入っていると、ふいに蘭の脳裏に三年前の光景がよみがえった。
───オレンジ色に染まった空。
舞い散る桜。
夕陽を反射してキラキラと輝く川面。
そして、『アメージング・グレイス』を歌う澄み切った声───。
三年前の春。
新一とケンカして、Aを間に挟み、互いにそっぽを向き堤無津川沿いの道を歩いていた。
ときどき、Aが二人に話しを振るが顔を逸らしながら話す二人にため息をつく。
するとそのとき、風に乗って女性の歌声が聞こえてきて、思わず三人で立ちどまって土手の下を見た。
誰かが川に向かって立っていて、歌っていた。
それが『アメージング・グレイス』だ。
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AYANE(プロフ) - 質問なんですが？夢主ちゃんは、何歳ですか？ (2021年4月22日 21時) (
レス) id: 91263c781e (このIDを非表示/違反報告)
さきっち(プロフ) - Ms.分情 十雅さん» プレイリストに最初の話がありますからそこに設定が載っていますよ！ (2019年5月27日 16時) (レス) id: 8c299fa2e0 (このIDを非表示/違反報告)
Ms.分情 十雅 - 私はコナン大好きです。凄く面白かったです！ 夢主ちゃんの設定が分からないので教えて頂ければ幸いです。 (2019年5月27日 14時) (レス) id: 4167ffb2cd (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - コナン大好きです最高ですコナンと新一大好きです (2019年4月18日 15時) (レス) id: a31ea93868 (このIDを非表示/違反報告)
茉歩(プロフ) - 初めの黄色い文字が見づらいかもしれないです。すいません！でも、とても面白いと思います！更新頑張ってください^ ^ (2017年6月24日 8時) (レス) id: 9fa3df96cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さきっち
| 作成日時：2017年1月8日 0時
