8話 ページ8
次郎吉「ちょっとした仕掛けを施しておる」
円台に上がった元太たちがガラスケースのお宝を見ようとすると、刑事たちが前に立ちはだかった。
元太「お宝見せろよ!」
「子どもが見るもんじゃない」
歩美「えー」
光彦「いいじゃないですか」
「ダメだ!」
刑事の一人が歩いてくる次郎吉を見つけると、「あんたね!」と文句を言いたげな顔で走り寄ってきた。
小五郎「中森警部!」
小五郎が刑事に声をかける。
中森「ああ、毛利さん。あんたも……ああ、ちょっと!」
次郎吉は中森の横を通り抜け、円台に上がった。
子どもたちをはじめ一同がガラスケースに群がる。
次郎吉「紹介しよう。あれが今日、彼奴らをおびき寄せるラピスラズリ、ビッグジュエル『レディー・スカイ』じゃ」
ガラスケースの中には白い手袋をしたマネキンの手が置かれ、その薬指には金色の斑点が光り輝く群青色のラピスラズリの指輪がはめられていた。
蘭「わあ、きれーい!」
その輝きに蘭が思わず声を上げ、
園子「この青い色が何とも言えないわね」
園子もガラスケースに顔を近づけた。
光彦「金色の粒々が光ってますよ」
歩美「お星さまみたい!」
光彦と歩美が目を輝かせながらラピスラズリの中に散りばめられた金色の斑点を見つめていると、次郎吉がたずねた。
次郎吉「その金色の粒のうちで一番大きいもの……何かに似ておらんか?」
光彦「一番大きい粒ですか……?」
光彦、元太、歩美があらためてラピスラズリの金色の粒を眺めた。
すると、歩美が「あ!」と声をあげた。
歩美「女の人の顔に見える!」
ラピスラズリの中央やや上に位置するその金色の大きな粒は、よく見ると女性の横顔らしき形をしていた。
次郎吉「そのとおり!それがレディー・スカイという名の由来じゃ。古代ローマの博物学者プラニウスは、この石を『星のきらめく天空の破片』と表現した。まさにこのスカイデッキに飾るにふさわしいお宝じゃ」
次郎吉が得意げに説明をしていると、その背後から中森がフンと鼻を鳴らした。
中森「そんなお宝を何であんな何の変哲もないガラスケースに入れて展示するんだ」
次郎吉「ほお……警部にはあの機関銃の頭をも跳ね返す防弾ガラスと、わしのこの指紋と暗証番号が一致しないかぎり開かない鉄壁の装置がわからんか?」
中森「フン。そんなもん、何の役にも立ちやしねえよ。現にあの細菌が盗まれた研究所だって……」
次郎吉と中森が言い合っている間に、小五郎がガラスケースに近づいた。
148人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
セレーナ - 37話の下から二行目のセリフ小五郎じゃなくて次郎吉だと思うわ (2018年11月26日 20時) (レス) id: 40108fa981 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみん - ふたりともすごいねはたして犯人は捕まえるのかな次回どうなる楽しみです (2017年1月6日 22時) (レス) id: ebf61ebbdb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さきっち | 作成日時:2017年1月2日 1時