45話 ページ45
蘭「自首して、A!やっぱり泥棒は泥棒。よくないよ。お願い、A……!」
そう言うと、蘭はブラックの背中に抱きついた。
キッド「あ……」
突然のことに、キッドが思わず頬を赤らめる。
ブラックはそんなキッドに一瞬だけ視線を向けてから少し考えると、フッと笑った。
ブラック「わかった」
蘭「それじゃあ……」
ホッとした蘭が抱きついた腕をゆるめて顔を上げると、振り返ったブラックが蘭をまっすぐ見つめる。
ブラック「私たちが一番欲しかったお宝を蘭がくれたら、警察に出頭してあげる」
そう言うブラックの隣ではキッドが頭を抱えていた。
(A……オレのせいじゃねえぞ。ぜってーオレのせいじゃねえ。梨沙だからな)
後に電話がかかってくるであろうことを予想してキッドは愛梨に対する言い訳を考え始める。
蘭「え?でも私、何も持ってない───」
ブラックは「シーッ」と蘭の唇に手を当てた。
ブラック「それはもちろん……」
そう言って蘭の後頭部に手を当て、引き寄せる。
蘭「え?あ、ちょっ、ちょっ……」
驚いた蘭は顔を赤くしながら慌てふためいた。
が、徐々にブラックの唇が近づいてきて、思わず目を閉じた───。
ブラックの唇が重なる寸前───蘭はハッと目を開け、ブラックの胸に置いた手に力を込めた。
蘭「あなた……Aじゃないわね」
ブラック「え!?」
ブラックがギクリとした瞬間、エレベーターが到着した音がした。
ドアが開き、愛梨とコナン、園子が飛び出してくる。
愛梨は正面の円台で抱き合う蘭とブラックを見て、顔をしかめた。
愛梨「ブラック、あんたねえ!!」
と叫んで駆け出す。
ブラックはそっと離れると膝をつき、蘭の手の甲にキスをした。
キッド「そう……私たちは探偵ではなく、泥棒。泥棒は盗むのが商売」
ブラック「たとえそれが、人の心でもね」
蘭「え……」
蘭が顔を赤く染める。
キッドとブラックはワイヤー銃を抜くと、天井の開いた展望窓に向かって撃った。
勢いよく伸びるワイヤーの先のフックが窓枠をつかみ、二人は駆けてくる愛梨に向かってニヤリを笑いながら小さく手を振った。
あっという間に二人の身体が上昇し、愛梨が円台に駆けつけたときにはハンググライダーで飛び立っていた。
円台の左右にある壁のセンサーには、しっかりとトランプが貼られている。
園子「キッド様とブラック様、素敵……!」
駆けつけた園子がうっとりとした顔で空を見上げると、蘭はしらけた顔をした。
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セレーナ - 37話の下から二行目のセリフ小五郎じゃなくて次郎吉だと思うわ (2018年11月26日 20時) (レス) id: 40108fa981 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみん - ふたりともすごいねはたして犯人は捕まえるのかな次回どうなる楽しみです (2017年1月6日 22時) (レス) id: ebf61ebbdb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2017年1月2日 1時