16話 ページ16
中森警部が皿から顔を上げると、別のテーブルから「ごちそうさま!」と歩美、元太、光彦の声が聞こえてきた。
光彦「ボクたち、部屋でトランプしてますので」
元太「お先に〜!」
三人は足早に出入り口へ向かい、阿笠博士が眉をひそめる。
阿笠「なんじゃ、せわしない」
先頭を走っていた元太が日売テレビスタッフのテーブルを通り過ぎようとすると、コーヒーのお代わりを注いでいたポニーテールのウェイトレスが顔をそらし、元太の顔の前で「クシュン!」とくしゃみをした。
元太「うわちゃ!」
「あ、ゴメン」
元太「ったく。気をつけろよな。くしゃみをするときはこーやって口をふさげって、かあちゃんに言われなかったのか?」
元太は手で口をふさぐ真似をしてみせた。
そして自分の服の袖で顔を拭いて「じゃあ行こうぜー!」とダイニングを出て行った。
コナンと愛梨がその様子を何気なく見ていると、次郎吉の携帯電話が鳴った。
次郎吉の足元で伏せていたルパンが「ワン!」と顔を上げる。
携帯電話の画面には『非通知』と表示されていた。
次郎吉「誰じゃ一体……もしもし」
次郎吉が電話に出ると、男の低い声が返ってきた。
『飛行船の喫煙室に殺人バクテリアをばらまいた』
次郎吉「なに?」
次郎吉の声にケーキの取り合いをしていたコナンと愛梨にそれを見ていた灰原が注目する。
次郎吉「何をたわけたことを!」
『左側のソファの下を見て見ろ』
電話がブチッと切れ、次郎吉は「おい、待て!」と声を上げた。
園子「どうかしたの?おじ様」
次郎吉「いや、何でもない。ただのイタズラ電話じゃ」
園子にたずねられた次郎吉は笑顔で返すと、中森を見た。
中森が小さくうなずく。
コナンと愛梨は二人のアイコンタクトを見逃さなかった。
目暮『とにかく、上には私から報告しておく』
中森「頼む」
部下を従えて喫煙室の手前にあるバーカウンターに座っていた中森は、目暮との電話を切ると、目の前の次郎吉を見た。
中森「男の言ったことは本当らしい」
次郎吉「何てことだ!キッドとブラックを捕獲どころではなくなってしまったわい!」
中森「すぐに喫煙室を封鎖するぞ!念のためこのバーを閉鎖した方がいいだろう」
「「「はい!」」」
中森の指示に部下たちが声をそろえる。
次郎吉にかかってきた電話を不審に思ったコナンと愛梨は、カウンターの陰に隠れて中森たちの会話を聞いていた。
日本中を恐怖におとしいれている『赤いシャムネコ』の細菌強奪事件。
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セレーナ - 37話の下から二行目のセリフ小五郎じゃなくて次郎吉だと思うわ (2018年11月26日 20時) (レス) id: 40108fa981 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみん - ふたりともすごいねはたして犯人は捕まえるのかな次回どうなる楽しみです (2017年1月6日 22時) (レス) id: ebf61ebbdb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2017年1月2日 1時