12話 ページ12
ブラックの素顔を目の当たりにした蘭は言葉も出ず、ただ呆然と立ち尽くしていた。
ブラック「どーしたの?久しぶりで私の顔、忘れちゃった?」
Aのフリをしたブラックが蘭の顔をのぞきこむと、蘭はブルブルと首を横に振った。
蘭「ブラックの正体がAですって?笑わせないで。どーせ得意の変装───」
そう言って蘭がブラックの頬を思い切り引っ張ると、ブラックは「イタタタッ」と声を上げた。
蘭「変装じゃない……!?」
驚いた蘭がパッと手を離す。
ブラックは赤くなった頬をさすった。
ブラック「ったりまえでしょ。素顔なんだから」
蘭「……いや」
蘭はすぐに冷静な顔でブラックを見つめた。
蘭「前に私が飛行機を不時着させたときのAも、警部が顔を引っ張っても変装を解けなかったわ。もともと顔だけ似てるんじゃない?」
ブラックがギクリとする。
何せ一卵性の双子なのだ、顔が似てるのは当たり前だ。
するとそのとき、エレベーターのドアが開いて中森と部下たちが出てきた。
中森「クソッ。オレとしたことがうかつだった。ヤツらは必ず犯行前に下見に来る。宝石の前を離れちゃ……」
蘭「中森警部!」
蘭が大きく手を振ると、中森たちは不思議そうな顔をして近づいてきた。
フッと笑った蘭がすばやくブラックの腕をつかむ。
蘭「こんな逃げ場のない飛行船に乗ったのが運の尽きよ。観念なさい」
ブラックはチラリと後ろを振り返った。
中森たちはまっすぐと歩み寄ってくる。
蘭はブラックの腕をつかむ手に力を込めた。
すると突然、ブラックがフッと笑った。
ブラック「飛行船じゃない……UFOでしょ?」
蘭「え……?」
驚いた蘭は思わず手を緩めた。
蘭の手から逃れたブラックが腕を振りながら蘭を見つめる。
ブラック「確か蘭、小さい頃そう言ってたよね。蘭にしてみれば、今の私は突然UFOに現れた、得体の知れない宇宙人に見えるだろうけど……」
ブラックはダイニングで聞いたエピソードを言いながら、背後から近づいてくる中森たちをチラリと見た。
ブラック「怪盗ブラックは、ある事件を解くために仕方なくやってんの。もちろんキッドも新一だよ」
蘭「え……」
(この際、快斗も道連れだ。ついでに新一も)
ブラック「その証拠に、盗んだ宝石は後で持ち主に返してるでしょ?」
蘭「で、でも……だって……」
ブラックを見つめる蘭の瞳に動揺の色が走った。
幼い頃、自分が飛行船をUFOだと勘違いしたことは、Aと新一しか知らないはずだ。
148人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
セレーナ - 37話の下から二行目のセリフ小五郎じゃなくて次郎吉だと思うわ (2018年11月26日 20時) (レス) id: 40108fa981 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみん - ふたりともすごいねはたして犯人は捕まえるのかな次回どうなる楽しみです (2017年1月6日 22時) (レス) id: ebf61ebbdb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さきっち | 作成日時:2017年1月2日 1時