44話 天性の才能 ページ47
ーーAはずっと、あんな瞳でオレを見てたんだろうか＿＿＿…。
「よし、そこまで！！」
八王子の声が静かな体育館に響いた。
その瞬間、緊張の糸がとけたように体育館内はざわつき始める。
「すごーい」
「まるで本番みたいだったね！
オーディションなんてもったいなーいッ」
ざわざわとするギャラリー。
『終わった…』
ほっと息をついたAはギャラリーを振り返ろうとした瞬間、何かに突進された。
『ウグッ』
「Aちゃんッ！本当にすごかったです！！」
突進してきたのは爽歌で、その後ろから拍手をしながら歩いてきた翔。
二人の雰囲気が変わっていたことに気づいたAは「二人もおめでとう」とつぶやいた。
顔を赤くした二人を静かに見つめるAに佐藤が話しかける。
「…Aちゃん。オマエ、今の演技…」
言いかけたところで体が強制的に方向転換されて、その先にいたのは、輝だった。
「ん？なんだチビ」
すると佐藤の顔をつかみ、男二人はキスをする。
「何すんだ、はなせチビ！！」
「うるせーッ、長々とAとキスしやがって！！
Aのキス返してもらうぜッ」
近くで見ていた翔とAと爽歌はその光景に目を細め、ドン引きしている。
八王子はぽつりとつぶやいた。
「なんと醜い…」
すると輝はAの前に立ち、親指で彼女を指差した。
「よく聞け佐藤！！
今日からAはオレの彼女になったんだ！！
演技の時以外、ベタベタしたらブッとばすぞ！！」
それに便乗するかのように翔も爽歌を抱き寄せ、宣言する。
「星野も今日からオレの彼女だ！
Aと同じく星野にも手ぇ出したら輝と一緒にブッとばしに行くからな！！」
鈴木兄弟の言葉にAと爽歌は目を見開いた。
───「オレの彼女」
嬉しそうに笑う、Aと爽歌に佐藤は何かに気づく。
「…なるほどね」
恥ずかしそうに顔を赤くしている双子とその隣で嬉しそうに笑っているAと爽歌を見つめて、ため息を吐いた。
(Aちゃんの演技が変化したのは、このチビとうまくいったからか。
ちくしょー)
ーー大したもんだな。
喜びも、痛みも、全ての経験を吸収して、一分一秒、新しい演技に進化しつづける。
天性の才能。
「…まいった。
男としても、役者としても、オマエたちに心底惚れちまった。
A、爽歌」
真っすぐな瞳で見つめられた二人は顔を赤くする。
佐藤は二人の手を握った。
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琴音 - めちゃくちゃ、キュンキュンしました！ありがとうございました🙇 (2022年4月12日 23時) (
レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 私も鈴木君！好きなので嬉しいいです！！ (2020年4月15日 3時) (レス) id: 623759395b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さきっち
| 作成日時：2016年11月23日 18時
