38話 出てしまった言葉 ページ41
ーー輝…。
こっちをふり向いてもくれない…。
前は誰より、私の演技を喜んでくれてたのに……。
Aの胸がズキンッと痛み、胸に手を当てた。
八王子は台本で肩を叩きながら、Aと爽歌に近づいた。
「何ボーッとしてる黒瀬、星野。
次、黒瀬の番だぞ」
『あ、はい』
Aは演技をしながら頭の中で考える。
ーー輝。
このまま、私たち…離れていっちゃうのかな。
諦めるしかないのかな。
Aの演技に八王子は首をかしげる。
「？なんか今日は調子が悪いな…」
「Aちゃん…」
八王子の隣でAの演技を見ていた爽歌も心配そうに彼女を見つめる。
それはステージの下から見ていたちひろも同じだった。
(なにかあったのかしら、A…)
ーー輝。
どんなに好きでも、もう＿＿＿…
佐藤先輩はAに手を差し出す。
「〈あなたが好きです。ジュリエット〉」
『〈私も───…〉』
Aが佐藤先輩の手を取る。
『〈あなたが好きです。輝〉』
(アレ？)
自分の言った言葉にAは心中で冷や汗を流す。
自分の名前を呼ばれた輝は、シュートしようとしたボールを思わず落とした。
ちひろと翔も唖然とAを見つめている。
Aの鼓動が一気に速くなった。
ーー私、今なんて…。
───『好きです。輝』
輝が振り向いて目が合った瞬間、彼女はやってしまった、と口元に手を当てて顔を赤くして視線を逸らした。
見ていたギャラリーがざわめく。
爽歌はAに駆け寄り、背中に手を当てた。
「今、A。
「好きですロミオ」じゃなくて「輝」って言ったよね…？」
「うっそ告白！？」
みんなは一斉に輝の方を向く。
輝は落としたボールを気にもとめず、顔を赤くしたまま固まっていた。
「うそー。
Aって鈴木輝が好きだったのー♡」
口元に手を当てたままのAの顔がかあぁとさらに赤くなる。
輝も顔を赤くしてAを見つめていた。
Aは震える手で爽歌の手を優しく振りほどくと、後ろを向いてダッシュで逃げた。
『ちょ、ちょっと頭冷やしてくるッ！！』
「あっ逃げた」
「待てよ、A！！」
「おっ、追いかけたぞ」
後ろからヒューヒューとはやし立てる声が聞こえるが輝はそんなのお構いなしに逃げたAを追いかけた。
それをぽかーんと見ていた八王子は、持っていた台本をぐっと握りしめる。
「おい、どーすんだ。オーディション」
「チッ」
佐藤は小さく舌打ちをした。
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琴音 - めちゃくちゃ、キュンキュンしました！ありがとうございました🙇 (2022年4月12日 23時) (
レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 私も鈴木君！好きなので嬉しいいです！！ (2020年4月15日 3時) (レス) id: 623759395b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さきっち
| 作成日時：2016年11月23日 18時
